高血圧
基本的には、薬剤の選択よりも目標血圧に達することが重要。 腎機能とカリウム値を確認した上で、薬剤を選択している。 合剤が豊富であるため、アムロジピンとテルミサルタンを中心に処方することが多い。 ALLHAT試験やBPLTTCなど、薬剤間のイベント差異や降…
塩分の摂取量と血圧が相関する理由の根拠として重要なのが、圧-利尿(ナトリウム排出)曲線です。これは、ナトリウムの排泄量(=摂取量)と平均血圧の関係を示したものです。 正常な人の腎臓では、通常の塩分摂取量から過剰摂取量までの範囲で塩分を排出する…
高血圧と塩分摂取に関して 高血圧の多様な原因:高血圧の病態と背景 高血圧の調整に関しては、いくつかの要因があります。高血圧の中には、何かの良性腫瘍などである血圧を上昇させるホルモンが高い場合や、腎臓の血管が高度に狭窄しているなどの明らかな原…
(2024年8月20日更新) 血圧: 血行動態に基づく血圧の理解 ★静的な血圧の理解 平均血圧は1回拍出量と総末梢血管抵抗で決まるとされる ●心拍出量 心拍出量は、全身が必要とする酸素需要に応じて、血液循環量が逆算的に制御され、血液循環量を心拍数で除する…
平均血圧=1回心拍出量×末梢血管抵抗 の式に、少し前から強い違和感があって、一から考えていたのです。 まず、血圧は、測定する部位の血管の円周方向への圧の変化を測定しています。 血液の進行方向と垂直に変化する圧の変化を測定しているのに、拍出量と末…
血圧は、脳・血管・腎臓の3つによって、作られ、調整されるのだと思います。血圧に心臓はあまり関係なく、心臓は従属的な臓器です。体が必要とした血液循環を維持するために、ただ、自律神経に命じられて、帰ってくる血液を血管に対して拍出するだけの臓器と…
後負荷とは、心臓が収縮して血液を大動脈に拍出するのに対して邪魔するをすべてのものとなります。後負荷を理解するには、2つの要素の理解が必要になります。まずは、血圧。そして、閉塞性肥大型心筋症と、その閉塞の程度に対する降圧薬の効果です。まずは…
家庭血圧の測定は、高血圧の診断でも重要で、治療過程でも非常に重要です。 現時点では、可能な限り自宅で毎日朝・夕に血圧を測定していただいて、それを何らかの方法で記入していただいたもの(たいていは血圧手帳)を外来に持参いただき、それを参考にして、…
CAVI (心臓足首血管指数:cardio-ankle vascular index) CAVI検査は、血管の硬さをみる検査です。値としては9以下が正常とされ、10以上は血管が硬くなっているとされます。 血管は年齢とともに硬くなっていってしまいますが、他にも動脈硬化を起こすといわれ…
高齢者の高血圧治療に関しては、日本老年医学会から高齢者高血圧診療ガイドライン2017が発表されています。 この中では、多くの臨床研究をもとにさまざまなことについてどのようにすればいいかが詳細に述べられています。 すごく簡単にまとめると、高齢者で…
健康診断で高血圧と言われたら、どうすればいいかですが、第一に行っていただきたいのは家庭血圧を測定するということです。 上腕で測れるタイプのもので、しっかりと腕を覆えるものにしてください。このあたりが不十分だと機械の脈拍の探知が甘くなって、正…
(高血圧の原因は、結局わからないが) 高血圧は、いわゆる2次性といて血圧を上げるようなホルモンが異常に高くなるような病態を除いては、結局本態性といって、何が原因かはわかりません。 喫煙に関しても、ニコチンが15-20分程度血管を収縮させて血圧を上げ…
(高血圧に対するワクチン治療) Hironori Nakagami, et al. Vaccines 2014, 2(4), 832-840; Peptide Vaccines for Hypertension and Diabetes Mellitus Nakagami Hironori, et al. Journal of Hypertension: September 2016. OS 17-05 DEVELOP A THERAPEUTIC …
(腎動脈アブレーション) SPYRAL HTN-OFF MED Trial Lancet. 2017 Nov 11;390(10108):2160-2170 Prof. Dr. Michael Böhm 2017年にLANCETという超一流雑誌に掲載された臨床試験です。 腎臓の動脈にスプリングのような形態をしたカテーテルを使って、アブレーシ…
(アルドステロン拮抗薬) アルドステロン拮抗薬は、高血圧治療で第一選択となる薬剤ではありませんが、併用することで非常によい降圧を示すことがあります。また、心不全の治療薬としては、心臓が大きくて悪い人も小さくて悪い人にも有効性を示すデータがあり…
(α1受容体遮断薬) 高血圧が維持される中で、自律神経の交感神経が非常に重要な働きをしています。 また、臓器によって、交感神経の受容体の中でもどの受容体が強く発現(多く存在)しているのかによって、同じ刺激を受けても異なる挙動を示します。 たとえば…
(β受容体遮断薬) β受容体遮断薬は、今までの降圧薬と違って、高血圧だけの患者さんに対しては第一選択にはなりません。第2、3選択にはなっていきます。 たま、特定の不整脈の方や、心臓が大きくなるような心不全を合併しているような方に関しては、第一選択…
(カルシウム チャネル ブロッカー:CCB) 今、第一選択としてもっとも多いのはこの薬剤かもしれません。 利尿薬も少ないのですが、やはり副作用が少ないというのが最大の売りで、高齢者にも処方しやすいイメージがあるとためだと思います。 値段も、標準容量…
(ARB; アンギオテンシンII 受容体拮抗薬) この薬剤は、日本でほんとによく使われています。 今まで何度もお話ししましたが、降圧を超える薬剤の差はほぼありません。 利尿薬の心不全予防と、ACE阻害薬の冠動脈疾患がある程度です。 こARBは、ACE阻害薬が使用…
(ACE阻害薬) この薬剤は、何度か出てきているレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系という塩を体に貯めて、血管を収縮させるということを目的としている系を阻害します。 レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系には、大きく血管内のレニン・アン…
(利尿薬) 前回述べたように降圧薬の中でも、本来最も費用対効果が高い利尿薬です。 利尿薬には、利尿を起こすための作用部位によってさまざまな種類がありますが、基本的には、すべて腎臓の尿細管に作用する薬です。 腎臓では、全身の20%の血流が流れます。…
(薬物の選択) 薬物治療を始めるとなったら、どうすればいいのかということですが、基礎疾患(*)のない方に関してはなんでもいいです。 大きくわけて、 ①利尿薬 ②ACE阻害薬 ③カルシウムチャンネル阻害薬 ④ARB ⑤β遮断薬 他には、補助的にα受容体遮断薬、他の…
(薬物治療の開始時期) 高血圧の治療で、まずお話ししたように塩分の制限やDASH食に近い食事(*)、運動習慣の確立を行います。そのうえで、それでも血圧の高値が続くようであれば、今は薬物治療ということになります。 (*)DASH食:Dietary Approaches to Sto…
では、具体的な治療であるが、減塩に関しては、個別の本を勧めることはしたくはないが、国立循環器病研究センターのかる塩レシピが参考になります。 塩分は4-6gが目標です。 高血圧患者に対しては、塩分制限だけではなく、DASH食という食物繊維や果物の多い…
(治療の第一は塩分制限と運動)まず、繰り返しですが、基本は塩分制限です。もともと塩分感受性の高いような人に関して重要であることはもちろん、その他の人でも、高血圧の状態となっていると塩分に対する感受性は亢進しています。多めの塩分をとっても高…
(2次性高血圧) 高血圧の診断が2つあるとお話し、まずは、高血圧かどうか自体の診断のお話をしました。2つ目の診断とは、まず1つ目の高血圧と診断されたら、次に原因となるような疾患があるかどうかを診断することになります、これが2つ目の診断です。 今まで…
(白衣高血圧と仮面高血圧) 前回、高血圧の診断としてもちいられている数字は、正しく測定された診察室血圧で140/90mmHg, 家庭血圧で 135/85mmHgと述べました。 また、最も信頼性の高いと思われる24時間自由行動下血圧で、昼間 135/85mmHg、夜間 120/70mmHg…
(高血圧の診断) 高血圧にかかわらず、ほぼすべての病気には診断となる基準があります。 高血圧や脂質異常であれば、検査値で決まるし、癌であれば、基本的には何らかの方法で癌細胞の存在によって診断されます。 高血圧や脂質代謝の異常とされる数値はどの…
(24時間自由行動下血圧測定) 診察室の血圧や、ジムで測るような血圧には、高血圧かどうか診断できる精度はありません。 確かに、診察室血圧は、ガイドラインでもある程度認められている値です。しかし、これは、すべての診察室血圧を認めているのではなく…
(家庭血圧測定) 実際に血圧を評価する際に、多くの臨床医が参考にしているのがこの家庭血圧です。 先に述べたように、どうしても診察室血圧は、適切な状態で測定することが困難で、さらに、1日の中でも変動する値を、その日の任意の1点の血圧をもって判…