心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

三尖弁疾患

TR(8):三尖弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療の可能性について

三尖弁閉鎖不全に対する治療に対するカテーテル治療に関しての論文が最近報告されました。​ 「Georg Nickenig, Marcel Weber, Robert Schueler, et al.​ 6-Month Outcomes of Tricuspid Valve Reconstruction for Patients With Severe Tricuspid Regurgitat…

三尖弁閉鎖不全症の手術治療の有効性を考える。

三尖弁閉鎖不全症の治療をどうするかというのは、古いようで、比較的最近の話題です。 三尖弁閉鎖不全の時に評価しなければならないのは、まず、右室機能自体はいいのかどうか、つまり、右室の心筋の病気でなったのか、また三尖弁単独の異常による閉鎖不全か…

TS:三尖弁狭窄症

三尖弁狭窄症(TS, tricuspid valve stenosis)は、ほとんどみないと思います。 私は純粋な自己弁の三尖弁狭窄を経験したことはありませんが、一度何かの理由で三尖弁が生体弁に置換されていて、その生体弁が硬化変性していて、三尖弁狭窄になっていたというこ…

TR(7):三尖弁閉鎖不全症に対する外科治療

三尖弁閉鎖不全の治療は、ほとんどが左室の不全を中心とした心不全の影響によるものが多いため、単独の治療というよりは冠動脈バイパス術や左心の弁膜症の手術などの時に同時に行われることがほとんどです。 左室系の手術に伴って三尖弁も併せて手術をするか…

TR(6):三尖弁閉鎖不全でみられる血行動態的なエコー所見など (AHAのガイドラインより)

僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁閉鎖不全症でも同じですが、AHA(アメリカ心臓病協会)のガイドラインでは、心エコーやカテーテルなどを用いて、弁膜症疾患を4つのStageに分類しています。弁膜症の原因となるような異常はあるが、弁膜症はないかごくごくわずかであ…

TR(5):三尖弁閉鎖不全症の重症度評価

三尖弁閉鎖不全の重症度自体はほかの弁膜症ほど客観的な評価が確立しているわけではありません。AHAのガイドラインを参考にすると、次の4つを評価するようになっています。 ♯AHAの基準を参考に、一部エコー専門のASE(American Society of Echocardiography、…

TR(4):三尖弁閉鎖不全症(原発性)の原因と、それに関連する諸々

三尖弁閉鎖不全(TR)の原因の多くは、心不全に伴う機能性不全がほとんどで、弁自体の異常によるもの、いわゆる原発性三尖弁閉鎖不全症は少数派ですが、経験することはあると思います。AHAのガイドラインなどを参考に原発性の原因を列記します。 原発性​​・リ…

TR(3):三尖弁閉鎖不全症の血行動態

TR(三尖弁閉鎖不全)の原因は、僧帽弁閉鎖不全症と同じように弁自体に異常のある一次性(Primary)と、弁自体には異常はない二次性、別の言い方では機能性(functional)とに分けられます。 日常的にみるのは、心不全に伴うTRだと思います。これは、心不全が安定…

TR(2):三尖弁の構造

三尖弁の構造は、もちろん名前の通りに3つの弁からなり、中隔尖、前尖、後尖といわれます。 弁は、腱索によって心筋とつながっており、心房側への過剰な動きを制限しています。ただ、これによって心室側への伸展が強くなると腱索によって弁が心室側に引っ張…

TR(1):三尖弁閉鎖不全症とは

三尖弁閉鎖不全症は、英語で、tricuspid valve insufficiencyですが、略号では、三尖弁逆流の略であるTR(tricuspid valve regargitation)と表記されることがほとんどです。大動脈弁閉鎖不全症は、ほとんどARですが、AI(aortic vavle insufficiency)と略すこ…