心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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TS:三尖弁狭窄症

三尖弁狭窄症(TS, tricuspid valve stenosis)は、ほとんどみないと思います。
 
私は純粋な自己弁の三尖弁狭窄を経験したことはありませんが、一度何かの理由で三尖弁が生体弁に置換されていて、その生体弁が硬化変性していて、三尖弁狭窄になっていたということがありました。
エコーで、診断をつけて、カテーテル検査で圧較差を測定して、僧帽弁狭窄の治療用のイノウエバルーンというカテーテル治療用の器具で治療したことがある程度です。
 
みたことがないので、AHAのガイドラインに沿って、お話ししたいと思います。
 
ガイドラインでも、結構あっさりとしか書いていません。
原因は、基本的には弁が分厚くなって石灰化している変化が起きて、さらにその原因としては、やはりリウマチ熱が多いとされています。
 
重症度判定としては、他の弁膜症と違って、Stage C and Dしか設定されていません。つまり、高度な三尖弁狭窄しか診断対象としないということだと思います。
基本的には、エコーで診断して、どうしても腑に落ちないときにはカテーテルで診断しましょうということになっています。
 
エコーでの基準としては、右房右室の平均ある格差5mmHg以上、弁口面積 1.0cm2以下ということになっています。
また、三尖弁の通過速度のpressure half timeというものがあって、これが190ms以下というのも診断基準の値として採用されています。
(PHTに関しては、別項目を参照ください)
また、弁以外の所見としては、他の疾患の合併がなければ、左心系や右室に異常所見はなく、右房が著明に拡大します。
 
治療に関しては、利尿薬などの内服を使用しても、心不全症状が持続する場合には手術が考慮されます。
現状ではカテーテルが可能なら、カテーテルで治療をして、それでも何か問題があれば弁の置換術を行うということになると思います。