健康リブ ー健康に生きるために病気を知るー

セミリタイアした医者のブログ。元気に長生きするためにしっておいてほしいこと。平日は毎日更新していこうと思っています。

サムスカという薬

サムスカという利尿薬があります。発売が2010年12月14日とのことですので、すでに8年と少し経っていることになります。 新しい機序の薬というのは、治療の新たな一手となるだけではなく、特に臨床医に病態を考え直すきっかけを与えたり、改めて今までにもあ…

TR(8):三尖弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療の可能性について

三尖弁閉鎖不全に対する治療に対するカテーテル治療に関しての論文が最近報告されました。​ 「Georg Nickenig, Marcel Weber, Robert Schueler, et al.​ 6-Month Outcomes of Tricuspid Valve Reconstruction for Patients With Severe Tricuspid Regurgitat…

急性心不全の治療(29):急性心不全で徐脈を合併しているときには

急性心不全の時には、なんだかんだでしんどくなりますので、普段よりも脈は速くなります。しかし、徐脈性の不整脈が合併していて、明らかに徐脈になっていたり、心不全の急性期のわりに徐脈っぽくなっていることがあります。 心エコーでの心臓の動きは正常で…

急性心不全の治療(28):心不全と心房細動とジギタリスと

ジギタリス製剤は、心房細動によく投与されているのをみかけますが、慢性期の心房細動の患者に投与するのは、エビデンス的には、有害な可能性がありますので、心房細動を伴う心不全患者への投与は勧められません。 ジギタリスの作用としては、Na/Kチャンネル…

急性心不全の治療(27):頻拍に対する治療(心房細動、心房粗動の時)

心房細動の時にどうするかですが、心房細動の時には、洞調律の時に使えるジギタリス、オノアクトに加えて、ワソランやヘルベッサーも有効になります。また、特に初回の心房細動では電気的除細動をどのタイミングで行うかというのも、重要な選択肢になります。…

急性心不全の治療(26):頻拍に対する治療(洞調律の時)

循環不全や利尿が不十分で、その理由として心拍数が考えられる時には、心拍数そのものを治療しに行くことになります。あくまで目安ですが、洞調律の時には110bpmくらいまでは、心拍出量が低下する原因にはなりにくいかと考えていて、甲状腺などの原因を調べ…

急性心不全の治療(25):急性期の心拍数の評価は、モニター心電図を使いましょう。

心不全の急性期に心拍数に対して治療するかどうかは、悩ましい問題です。 救急外来や入院直後の頻拍に関しては、循環不全や呼吸不全に対して治療を行うことで安定することは多いと思います。 では、どのくらいの心拍数なら、そのまま様子を見るかという問題…

急性心不全の治療(24):急性期および重症心不全治療におけるACE阻害薬の意味と使い方

心不全の慢性期に、予後などをよくすることを目的にして使用する薬剤として代表的なものに、ACE阻害薬とβ受容体遮断薬があります。 β受容体遮断薬は、心機能を一時的に抑制する作用があるため、急性期から使用する時には、心拍数を何とかしたいというとき以…

急性心不全の治療(23):患者さんのセルフケアの必要性、外来での急性心不全治療での利尿薬の使い方

急性心不全の治療は、循環不全を常に意識し、呼吸状態を安定させながら、全身の溢水とうっ血を改善させるということになります。 基本的には、どんな心不全でも考え方や評価の仕方は同じで、重症になればなるほど、低拍出による循環不全が前面に出てくるので…

急性心不全の治療(22):心不全治療の時の1日尿量は2500±500mlくらいでいいと思います。

ファーストタッチの後に、具体的にどのように利尿薬を使用するかをお話ししました。 心不全の急性期の治療において、どれくらいの尿量があればよしとするかについての、私がなんとなくこれくらいかなと思っていることをお話ししたいと思います。 できるだけ…

急性心不全の治療(21):ひとまずのラシックス静注後の利尿薬の選択をどうするか。そして、ラシックスはクロールとともに持続静注を。

慢性心不全の急性増悪の時に私が行っていた利尿薬の投与法は、まず、ラシックスを10 or 20mg静注して、その反応を60分程度でみて、次にどうするかを考えていました。 次に打つ手として多いのが、トルバプタン(サムスカ)の追加内服か、ラシックスの追加静注で…

急性心不全の治療(20):ファーストタッチのラシックス10 (or 20)mg投与

心不全の急性期の薬剤治療については、最も重要なのが利尿薬です。 また、特に重症心不全などでは利尿薬を使いつつ、ECUMという選択肢を意識しておくのも重要です。 さて、ほとんどの心不全の増悪状態では、ある程度余分な水が体にたまっていることがほとん…

急性心不全の治療(19):カルペリチドの具体的使用方法とガイドラインでの扱いに対する疑問

カルペリチドの具体的に使用用法としては、少量から開始し、必要があれば増量するということでいいだろうと思います。具体的には、0.01γ(=ug/kg/min)程度で開始して、0.005 or 0.01γずつ30-60分程度で増量していく感じでいいと思います。それ以下でしか始め…

急性心不全の治療(18):私がカルペリチドを使わなかった理由

日本で一番使用されているらしい血管拡張薬のカルペリチドについてです。確認ですが、カルペリチドは血管拡張薬で、少し利尿作用がある薬剤です。利尿薬ではありませんので、利尿作用は付加価値的に考えるのがいいと思います。 また、薬理的にはアルドステロ…

急性心不全の治療(17):血管拡張薬、特にNO供与体(ミオコール®、ニトロール®、ニコランジル®)

血管拡張薬の具体的な使用方法を述べていきたいと思います。何度も繰り返しになりますが、血管拡張薬を、私は呼吸管理の一環と考えています。心不全だから、血管拡張薬という風に素直にいかずに、すべての治療でそうですが、目の前にある心不全に対して、ど…

急性心不全の治療(16):持続静注の血管拡張薬の使い方に対する私の考え

さて、具体的な薬剤のお話です。 ミオコールやニトロールは基本的にNO供与体といわれ、NOを平滑筋に作用させます。カルペリチドは、平滑筋の受容体に結合して作用します。どちらも、cGMPを平滑筋細胞内で増加させ、ミオシン軽鎖に脱リン酸化を起こすことで平…

急性心不全の治療(15):静脈の弛緩の生理学と腹腔内静脈が交感神経支配を受けている意義

現在、心不全で血管拡張薬として使用されている持続静注の薬剤(主にニトロ系の製剤とhANP)は、基本的に静脈系の血管拡張薬であり、前負荷を軽減させること、つまり、右室拡張末期圧、左室拡張末期圧を低下させる効果があります。拡張末期圧の低下は、拡張末…

急性心不全の治療(14):うっ血の治療は? 利尿薬・ECUM・血管拡張薬

心不全の治療で、重要な循環不全と呼吸不全に対する評価と治療を行ったら、次に重要なのはうっ血の解除です。 時間的に次に重要と記載しただけで、心不全の治療とは、循環を維持しながら、うっ血をコントロールすることですから、うっ血の治療はとても重要で…

急性心不全の治療(13):普段の心不全入院患者さんの診察について

うっ血の治療についてお話しする前に、私自身が自分の受け持ちの心不全の入院患者さんに、毎日診察していた所見についてお話します。もちろん、看護師さんがつけてくれる熱型表や記事内容、心電図モニターを確認したうえで、ベッドサイドにいって食欲はどう…

急性心不全の治療(12):陽圧換気の循環動態に与える影響

陽圧換気が循環動態にどのような影響を与えるかについてお話ししていきたいと思います。 まず、要約すると、非侵襲的陽圧換気で、持続的な陽圧(CPAP)を10cmH2Oかけると、肺の圧が上昇し、肺が心臓の拡張を阻害します。それによって、最終的には、右房圧と肺…

急性心不全の治療(11):陽圧換気療法のいろいろ

陽圧換気には、段階的にnasal high flow(NHF)、noninvasive positive airway pressue(nPAP) or nonivaseve positive airway pressure ventilation(NiPPV)、 invasive positive airway pressure(iPAP)があります。 nasal high flowは、特殊な回路を用いて、鼻…

急性心不全の治療(10):酸素投与方法のいろいろ

心不全の時の呼吸管理の方法をまとめます。 酸素は多少なりとも投与するとして、次に大きく陽圧換気がないものと、あるものにわけることができます。 まずは、一般的によく使われるカヌラ、マスクです。 酸素の投与量は、1分間に酸素の供給を何リットル行う…

急性心不全の治療(9):呼吸管理の始め方、CO2は静脈血でもいいと思う

急性心不全の呼吸管理に関しては、酸素投与は必要なことが多いと思います。 その中でも心不全の呼吸管理では、陽圧管理が必要かどうかということが重要になると思います。 非侵襲的な陽圧管理(noninvasive positive airway pressure ventilation, NiPPV)は心…

急性心不全の治療(8):PICCカテーテル挿入時に簡易的な右心カテーテル検査ができる。

何度かPICCという言葉を説明なく使いました。PICC(peripherally inserted central catheter)というのは、日本語では末梢静脈挿入型中心静脈カテーテルという風になります。 つまり、両腕の末梢静脈から細めのカテーテルを入れて、それを中心静脈かそれに近い…

急性心不全の治療(7):ドブタミンとミルリノンの具体的な使用方法とにニフェカラントについても少し

ドブタミンとミルリノンの具体的な使用方法をもう少し具体的にみていきます。 ①ドブタミン 使用量:1.5 or 2γ程度から開始し、5γ程度にとどめる ​ ドブタミン 3γ程度で循環不全の症状が改善がないときは、ミルリノンの併用を早期から考慮する ​ (感染などに…

急性心不全の治療(6):強心薬の具体的な使用

強心薬の具体的な使用の仕方をお話ししていきたいと思います。 強心薬として使われているのは、ドブタミン、ミルリノン、オルプリノン、ドーパミンになるかと思います。 また、強心薬と似て、非なるものが昇圧薬です。これには、ノルアドレナリン、バソプレ…

急性心不全の治療(5):低潅流による循環不全に強心薬の投与をためらってはいけない

循環不全と診断したら、強心薬を使用する必要があります。 一部の観察研究などのデータで、心不全の治療に強心薬を使うと、多変量解析でほかの因子を補正しても、予後が悪いので、できるだけ使用しないほうがいいという意見があります。 このような意見は基…

急性心不全の治療(4):心不全治療における尿中生化学の解釈 (クレアチニン、尿素窒素、尿酸)について

心不全の時に尿化学検査をどのように評価をするかですが、個人的にはいろいろと模索した結果、電解質だけをみればいいのではないかと思うようになりました。 ただ、尿中のクレアチニン(urinary Cr, uCr)や尿素窒素(urinary UN, uUN)、尿酸(urinary UA, uUA)…

急性心不全の治療(3):尿中クロール濃度は循環不全のマーカーである

低潅流による循環不全のゴールドスタンダードはなんでしょうか。 私の答えは、尿中クロールです。 10割本気です。 一時期、心筋マニア、心不全オタク、ただの通りすがりの心不全屋などなど、いろいろといわれながら、たどり着いたラフテル、それが心不全の循…

急性心不全の治療(2):VTI 心エコーによる心拍出量の推定

低潅流の所見は、手を触って、指で爪を押さえて毛細血管充満時間(CRT, capillary refilling time)を計ってみる、そうするとすぐに評価が可能です。 しかし、主観的な要素の強い検査ですし、これが陽性だからといって、なかなかすぐに強心薬などの治療に踏み…