健康リブ ー健康に生きるために病気を知るー

セミリタイアした医者のブログ。元気に長生きするためにしっておいてほしいこと。平日は毎日更新していこうと思っています。

AR(10):心機能評価指標について

ARの診断し、重症度を評価する中で心機能も重要な要素として診断基準の中に加えられています。​AHAのガイドラインの中では、左室の駆出率(LVEF, left ventricular ejection fraction)と左室の収縮末期径(LVESD, left ventricular end-systolic diameter)によ…

AR(9):腹部大動脈の拡張期逆流波形(Holodiastolic flow reversal in the proximal abdominal aorta)

重症度評価の項目で、高度かどうかをみるのに重要な評価項目がHolodiastolic flow reversal in the proximal abdominal aortaです。これは、腹部大動脈に拡張期の逆流があるかどうかという指標で、これがあると高度であるということなります。 測定の方法と…

AR(8):PISA法による重症度評価

Mild AR: ERO <0.10 cm2​, RVol <30 mL/beat​, Moderate AR:​ ERO 0.10–0.29 cm​2, RVol 30–59 mL/beat, Severe AR: ERO ≥0.3 cm2​, RVol ≥60 mL/beat, 今回は、PISA法(Proximal Isovelocity Surface Area)法といわれる方法についてです。この項目も大半は、…

AR(7):連続の式による重症度評価

(RVol:逆流量, RF:逆流率) Mild AR: RVol <30 mL/beat​ and RF <30% (両方を満たす必要あり)​ Moderate AR:​RVol 30–59 mL/beat​、RF 30%–49%​ (基本的にはmildでもなく、severeでもないものがmoderateになる) Severe AR:RVol ≥60 mL/beat or RF ≥50% (どち…

AR(6):AR jet width と vena contracta

Jet width of LVOT (左室流出路の断面におけるARジェットの占める面積率)​ Mild AR <25% of LVOT​ Moderate AR 25%–64% of LVOT​ Severe AR ≥65% of LVOT; ​ ​ Jet width of LVOTとは、LVOT(左室流出路)の断面像で、ARの逆流ジェットの断面がどれだけの面積…

AR(5):重症度評価に用いられる心エコー指標

大動脈弁閉鎖不全症の診断には心エコーが必須です。 心電図やレントゲンなどは、なんとなくの心機能障害や心不全の状態を把握するのには有用ですが、大動脈弁閉鎖不全の診断そのものには、関係ありません。​ 身体所見にも特徴的な所見はありますが、あくまで…

AR(4):大動脈造影の注意点と評価基準

ゴールデンスタンダードといえるカテーテルによる大動脈弁閉鎖不全症の評価です。 大動脈造影といって、大動脈に造影剤を十分に投与して大動脈から弁逆流がどれだけ起こっているのかを観察する検査になります。 検査の方法としては、まず大動脈造影用のカテ…

AR(3):重症度評価とその難しさ

大動脈弁閉鎖不全の重症度の評価は、細かくは5段階にわかれますが、実質的には4段階になります。細かく分けると、none(なし)、trace(わずか)、mild(軽度)、moderate(中等度)、severe(高度)の5段階ですが、traceはごくわずかという感じですので、noneと合わせ…

AR(2):原因と、昔の思い出

www.kenkohlive.com 大動脈弁閉鎖不全症の原因で多いのは、加齢性変化、二尖弁、大動脈弁輪拡大、大動脈弁の逸脱症ではないでしょうか。時折、大動脈炎などに合併したものもみますが、リウマチ性変化はかなり減っていると思います。他には、感染性心内膜炎は…

AS(8):手術治療と傍胸骨右側からの観察

大動脈弁狭窄症そのものの治療は、手術です。 その前に、心エコーで大動脈弁の石灰化が非常に強い時には、傍胸骨左側や心尖部からのアプローチでは石灰化が強く、その先の深いところにエコーが届かずに、大動脈弁狭窄の狭窄後の血流をとらえることができず、…

大動脈弁の構造

今更ですが、大動脈弁の解剖です。 3つの弁で構成されています。3尖弁です。 左室短軸のレベルを上にあげていくと大動脈弁の正面像がみえます。 上に右室がみえて、左下に右房、真下から右下にかけて左房がみえます。 大動脈弁の上の右室側になるのを右冠尖…

AS(7):ASの心不全治療の注意

大動脈弁狭窄症に合併する心不全に関しては、代償性心不全の状態にすることが重要です。大動脈弁狭窄に限らない話ですが。 心不全を合併している高度大動脈弁狭窄症は手術ということになりますが、できる限り代償化させる努力を行う必要はあります。 かなり…

AS(6):失神・狭心症状は、本当にすぐに手術が必要

大動脈弁狭窄症の治療に関しては、比較的ガイドラインで統一されているといえます。 高度で症状があるものは、手術。 高度でも、超高度といわれるものやそれに近いものに関しては、無症状でも手術を積極的に考慮する。 高度ではあるが、ぎりぎり高度で症状の…

AR(1):大動脈弁閉鎖不全症とは。 ー最も難しい弁膜症ー

大動脈弁逆流症(AR、aortic valve regurgitation)、または、大動脈弁閉鎖不全(AI、Aortic valve insufficiency)はもっとも難しい弁膜症です。(正確に言うと大動脈弁閉鎖不全によっておこるのが、大動脈弁逆流症ということになります) 過大評価だけでなく、…

AS(5):1回心拍出量が少ない時の高度大動脈弁狭窄症は要注意

大動脈弁狭窄症の診断や重症度評価に関しては、心エコーで基本的には診断可能です。ただ、エコーが万能というわけでもありません。特に以下の点で注意が必要です。 1) 左室流出路に狭窄があり、加速血流がみられる場合 2) 基部から上行にかけての大動脈…

AS(4):大動脈径が3cm以下の時のASの評価

大動脈弁狭窄症の診断や重症度評価に関しては、心エコーで基本的には診断可能です。ただ、エコーが万能というわけでもありません。特に以下の点で注意が必要です。 1) 左室流出路に狭窄があり、加速血流がみられる場合 2) 基部から上行にかけての大動脈…

AS(3):左室流出路狭窄時のエコー評価

大動脈弁狭窄症の診断や重症度評価に関しては、心エコーで可能です。ただ、エコーが万能というわけでもありません。 特に以下の点で注意が必要です。 1) 左室流出路に狭窄があり、加速血流がみられる場合 2) 基部から上行にかけての大動脈径が相対的に細…

AS(2): 心エコーによる大動脈弁狭窄症の診断、重症度評価

大動脈弁狭窄症の診断は、心エコーが中心になります。ただ、無症候性の大動脈弁狭窄症の発見には、胸部聴診が非常に有効です。 他の検査としては、心拡大が起こらない疾患ですので、レントゲンでは何もわかりませんし、心電図もあっても左室肥大所見程度にな…

AS(1): 大動脈弁狭窄症の原因

大動脈弁狭窄症(AS, Aortic valve stenosis)に関してですが、大動脈弁狭窄症は、この10年でもっとも劇的に治療が変化した疾患です。 大動脈弁狭窄症は、左室と大動脈の間にある大動脈弁が何らかの理由で開放が制限されるようになっている疾患です。 大動脈弁…

僧帽弁閉鎖不全症を手術(クリップ術含む)でなくしたときに、拡張末期圧が上がり、心拍出量が減る可能性はある。

一次性僧帽弁閉鎖不全症の場合には、よほど手遅れで左室障害が高度に障害されていない限り、心拍出量が減少することも、左室の拡張末期圧が上昇することもありません。 繰り返しますが、50%の逆流率の僧帽弁閉鎖不全症の場合には、大動脈方向と左房方向の後…

僧帽弁閉鎖不全の手術を決定するには

僧帽弁閉鎖不全症の心機能の評価の時に、ガイドラインなどで収縮末期径or容積が重要視されているのは、心臓の収縮性と後負荷によって収縮末期径がきまるためです。 また、他に、拡張末期圧の時間積分と容量負荷の結果であると考えられる左房容積。心筋の拡張…

僧帽弁に対する手術を検討する要素(心機能をどう見るか)

僧帽弁閉鎖不全症の評価ができて、原因も判明したら、手術が必要かどうかの判断となります。 ​ 弁膜症一般でいえることですが、まず、その弁膜症が心臓に対して悪い影響があるのかどうか、治療(≒手術)する際の合併症はどの程度と見積もれるか、また、弁形成…

僧帽弁閉鎖不全症に、心臓カテーテル検査は時に必要

いままで、心臓カテーテル検査については、まったくお話ししていません。 全般的なカテーテル検査の概要は別項目でお話しするとして、僧帽弁閉鎖不全症に対して心臓カテーテル検査は必要かどうかと僧帽弁閉鎖不全の時のカテーテル検査についてお話しします。…

僧帽弁閉鎖不全:一次性と二次性の違い

二次性僧帽弁閉鎖不全症に関しては、以前にお話しさせていただいており、参考にしてください。 www.kenkohlive.com 要は、心筋自体に異常があり、左室の拡張末期から収縮期にかけての期間に、僧帽弁と乳頭筋の距離が離れていることが原因です。この距離が離…

心エコーでの僧帽弁逸脱部位の同定

僧帽弁の逸脱は、一次性僧帽弁閉鎖不全症の原因として、しばしばみかけます。 僧帽弁逸脱は、僧帽弁の閉鎖位置である、弁輪の少し心室側のラインより、僧帽弁の一部が心房側へ過剰に移動してしまうことです。弁の付け根や弁腹などは異常がなく、弁の先が異常…

今更ですが、僧帽弁の構造について。

僧帽弁は、今更ですが、2枚の弁で構成されています。ほかの弁はすべて3尖で構成されています。 大動脈弁は3つの尖がほぼ均等な大きさですが、僧帽弁は前尖が大きくて、後尖が少し小さくなっています。 ただ、面積で言えば、前尖のほうが大きいのですが、弁…

一次性僧帽弁閉鎖不全症の原因とは?

僧帽弁閉鎖不全症の原因 僧帽弁閉鎖不全症の原因は、大きく一次性と二次性といわれるものに分かれます。 今までの重症度の数値の記載は、あくまで一次性僧帽弁閉鎖不全に対する評価です。二次性では値が同じものと異なるものがあります。 一次性、二次性とは…

僧帽弁閉鎖不全症の診断にvena contractaはあまり使用しないが、

vena contracta 僧帽弁の閉鎖不全症の診断として、時折用いられるのがvena contractaです。 ただ、僧帽弁閉鎖不全の時には、カラードプラーエリアでざっくりみて、中等症以上を疑うときには、連続の式(通過血流量からの計算)と、PISA法を用いて、評価するこ…

僧帽弁閉鎖不全症:PISA法とは?

PISA(Proximal Isovelocity Surface Area)法 (4800文字、いつもの2-3倍あります) (逆流量:重症 ≧ 60ml、60ml > 中等症 ≧ 30ml、30ml>軽症) (有効弁口面積:重症 ≧ 0.4cm2、0.4cm2 > 中等症 ≧ 0.2cm2、0.2cm2>軽症) 今回は、PISA法といわれる方法…

僧帽弁閉鎖不全:連続の式、通過血流の測定による逆流量および逆流率の算出

僧帽弁閉鎖不全症の心エコーによる定量的評価 1) 通過血流の測定による逆流量および逆流率の算出 (逆流量:重症 ≧ 60ml、60ml > 中等症 > 30ml、30ml>軽症) 逆流量の測定はかなりの慣れが必要です。普段から、余裕のある時に弁膜症のない人でも測定しておく…