平均血圧=1回心拍出量×末梢血管抵抗
の式に、少し前から強い違和感があって、一から考えていたのです。
まず、血圧は、測定する部位の血管の円周方向への圧の変化を測定しています。
血液の進行方向と垂直に変化する圧の変化を測定しているのに、拍出量と末梢血管の抵抗という血流方向の値で表現していいのかと疑問だったのです。
いろいろ考えて、CAVIの値を見て確認し、確信しました。
血圧はそもそも血管の圧力、圧縮応力の略です。
収縮期血圧は、収縮期に血管にプールされる血液が血管を押し広げるときに、血管が血液の体積変化に応じる応力ですので、1回拍出量と血管の弾性により決定します。そのため、中心動脈、上腕動脈、下肢動脈で血管の弾性が異なるため、収縮期血圧は異なります。
拡張期血圧は、収縮期に血管にプールされた血液が末梢に流れていくときに血管が元に戻るときの血管の復元力に様なものです。
拡張期が十分に長く続くとすると(病的徐脈やVPCの後など)
最終的にどれだけの血液が血管内に残るかが拡張期血圧の最終的な圧になります。そのため、血管抵抗がキーになります。
(末梢血管の閉まり具合によって最終的な血液量が決まるように思います)
CAVIのデータなどを見ていると、収縮血圧は上肢と下肢で20mmgHg程度異なるのが通常ですが、拡張期はほぼ同じ圧になっています。
さらにいうと、血圧は、脈波です。
脈波は1400cm/s程度のスピードで伝わります。しかし、血液自体の速度は、80cm/s程度です。
血液は、80cm/sですので、収縮期0.3s程度では、20cm程度しか進みません。
容量的にも、1回拍出量は80ml程度です。大動脈の直径は3cmで、表面積は7cm2程度で、大動脈弁から10cm分の血液しか出ません。
左室から出てきた血液は大動脈基部にある血液を押し込んで、その血液がさらに先にある血液を押し込んで、さらにその血液がその先にある血液を押し込んでという具合に、どんどんと脈波が伝わっていきます。
このことを考えたら、動脈内にある血液自体が左室から駆出される血液にとって抵抗になる、後負荷になるということが分かりました。
ちなみに、末梢血管抵抗をコントロールするのが腎や脳なんだと思います。