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上大静脈欠損型心房中隔欠損に対する新しいカテーテル治療

Jan Hinnerk Hansen, Phuoc Duong, Salim G.M. Jivanji, Matthew Jones, Saleha Kabir, Gianfranco Butera, Shakeel A. Qureshi and Eric Rosenthal;J Am Coll Cardiol. 2020 Mar 24;75(11):1266-1278, Transcatheter Correction of Superior Sinus Venosus Atrial Septal Defects as an Alternative to Surgical Treatment

 

上記からの引用になります。

心房中隔欠損に対するカテーテル治療は、普通に行われる時代になりました。ただ、今の治療は、2重になった傘のようなのもので穴の辺縁を挟み込んで蓋をするという形になります。そのため、心房中隔の上端に孔が開いているものに関しては適応になりません。はさむための縁がないので固定できないためです。

 

しかし、この論文では、上大静脈から心房にかけてラッパのようなもの、スカートのようなもの留置することで、心房中隔に蓋をしようというアイデアです。上大静脈と心房の間には、弁などの構造物はないので、これでしっかりと穴をふさげるのであれば、心房機能は一部障害をきたすとは思いますが、治療を行うほうが血行動態的なメリットは大きいであろうと考えられます。

 

心臓がこれから大きくなる小児にするときや、閉鎖後の右房の大きさの変化や、その変化によって、三尖弁への影響はないか、心房壁を摩擦して遠隔で穿孔を起こさないか、そもそもずれないかなど懸念はあります。

(静脈は動脈と違って、大きさが変化しやすいので、ステントで上大静脈に圧着させて、炎症で固定されたとしても、柔らかい静脈は何らかの理由で拡張しやすく、脱落の原因になりやすい。例:下大静脈フィルター)

 

実際に25人中8人には手技上の問題でできなかったようですので、だれにできるのかをCTなどでシミュレーションをする必要はあると思いますが、非常に素晴らしい手技だなと思います。

 

これを考えるのにIQ180の頭脳はいらず、今のカテーテル治療で除外されている患者さんに、いかにすれば、侵襲の少ないカテーテル治療を行うことができるのかを日々考え、考え続けた中で、ふと、あ!上大静脈ごといってしまえば孔ふさげるかもという思い付きから発しているように思います。