心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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豆腐は体にいいらしい。

Ma L, Liu G, Ding M, Zong G, Hu FB, Willett WC, Rimm EB, Manson JE, Sun Q. Circulation. 2020 Mar 23. Isoflavone Intake and the Risk of Coronary Heart Disease in US Men and Women: Results From 3 Prospective Cohort Studies.

 

今回は、豆腐を食べることは体にいいかどうかを見た観察研究の結果についてです。

3つの前向きの研究を合わせた論文になり、合計20万人程をおおよそ20年間観察した結果となっています。8,400件の心血管死亡ないし心筋梗塞が発症したとのことです。

食事内容の把握には、Food Frequency Questionnaire(食事摂取頻度調査票)という方法が使われていて、おおよそ180項目の食品について、どの程度の頻度で、どの程度の量(普通か、多いか少ないか程度)を摂取したかについて、質問していく方法になります。具体的には、ネットの画像検索していただければ質問票の現物がみれます。

 

豆腐をはじめとするイソフラボンの摂取量で3グループに分けると、最も摂取しているグループの心血管疾患の発生率が低かったという結果になっています。

 

イソフラボンの摂取量に関しては、各食品に含まれる代表的なイソフラボンの含有量で補正して合計量を出しているので、アバウトです。仕方ありませんが。

また、代表的な食品である豆腐と豆乳に関しては、そのものの摂取量で、イソフラボンとは別に3分位で評価されていて、豆腐に関しては摂取量が多いグループで心血管死や心筋梗塞が少なかったとされています。

 

このような研究で注意しなければいけないのが、他の関連する因子です。これはアメリカの研究で、アメリカの中でもアジア系の人が少ない研究(asian 0-7%)になっています。

ということは、豆腐を習慣として食べているというよりは、健康を意識して摂取しているという可能性が出てきます。アジア人なら普通に食事をしていれば、豆腐をいろんな形で摂取することになると思いますので、豆腐が多いから必ず健康志向とはいえないと思いますが、非アジア系の人に限れば、健康を意識して摂取している人が多くて、全体的に健康を意識した生活をしていて、その中で豆腐の摂取も多いという可能性も出てきます。この点には注意が必要で、他の研究項目からこの傾向を示唆するようなものがないかどうかを見る必要はあります。そういう目で見ると、イソフラボン接種が多い群では、phsical activityが高いとか、脂肪の摂取率が低いなど、健康を意識している群である要素が浮上してきます。一応、多変量解析でそういう要素を処理してもとなっていますが、各項目の相関性の解析などの結果はなく、相関性の高い項目を含んだ多変量解析は意味ないですし、そもそも、人の研究で多変量解析を使ってどこまで真実を浮かびあげることができるかどうかは疑問です。

 

さて、そうはいっても、個人的には、豆腐だけをあえて食べるのがいいかどうかはわかりませんが、トランス脂肪酸などを含む食べ物の代わりに、豆腐でおなかを膨らませて、豆腐でカロリーを摂取するということは、健康にはいいだろうという感覚はあります。