心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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私は、Left mainはCABGというスタンスです。日本のPCI術者はCABGのリスクを高く見積もりすぎだと思います。

 

Sangwoo Park, Jung-Min Ahn, Tae Oh Kim, Hanbit Park, Do-Yoon Kang, Pil Hyung Lee, Yeong Jin Jeong, Junho Hyun, Junghoon Lee, Ju Hyeon Kim, Yujin Yang, Kyungjin Choe, Seung-Jung Park, Duk-Woo Park and for the IRIS-MAIN Registry Investigators

Journal of the American College of Cardiology
Volume 76, Issue 12, September 2020
Revascularization in Patients With Left Main Coronary Artery Disease and Left Ventricular Dysfunction

を読んだ感想です。

 

いわゆるleft mainに対して、PCIかCABGかということです。

 

私は以前PCIをしていました。術者として、年間50-150くらいしていたと思います。

多くもないが少なくもないというところで、いわゆる慢性閉塞とか、reverseCARTとかもしていた時期があります。

 

その当時から、Left mainは基本的にCABGというスタンスです。

どうしてもPCIをしてほしいという患者さんには、絶対にCABGの方が安全なんだと言い続け、さらには、術者がPCIよりCABGがいいというんだぞとも言い、それでもという患者さんには、IABP下にPCIをしていました。

 

以前から日本の、特に冠動脈のインターベンションをする人達は、PCIのリスクを低めに、CABGのリスクを高めに取っているように思います(当時から思っていました)。

 

特に、分岐部が絡むようなPCIは、一定の確率でno flowやslow flowでIABPやVA-ECMOを使うことになります。

しかし、CABGではleft mainに病変があろうが、なかろうが、別に手術のリスクは変わりません。

絶対はないですが、若年者のCABGでの合併症の発生はかなり低いです。(若年で、腎障害や呼吸障害がなければ、EuroScoreなどの死亡率は1%をきります。)

高齢者でも、CABGのリスクは、left mainがらみのPCIよりは低いですし、どうしてもというなら、LITA-LADだけ、さっとつないでもらえばいいと思います。そうすれば、致死的ななイベント発生率は下げれますし、LMT-LCXに関しては、LITAでLADが還流される分、虚血がなくなるかもしれませんし、虚血が残るなら、薬物をできるだけ入れるか、バイパスされているとはいえ、LMT-LADを閉塞させるのはよくないかもしれないので注意しつつ(多少の狭窄の悪化はいいと思います)、LMT-LCXへポンとステントを入れればいいのだと思います。

LITA-LAD後に、必要に応じてPCIというのは戦略的でいいと思います。

 

上記論文でも、短期合併症はPCIの方が多いです。それでも長期の合併症は同じということですが、それならCABGでいいのだろうと思います。