心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

高血圧とは。そもそも血圧とは何か。治療はした方がいいのか。(6)

(高血圧の2つの診:高血圧の診断)

高血圧が疑われるときには、いろんな状況があるとは思いますが、健康診断など何らかの理由で血圧を測定するのがきっかけであろうと思います。

血圧は、脈拍などと同様一日の中で変動する値です。

普段から安静時でも変動していますし、夜間就寝中は普通であれば血圧は低下します。また、特定の状況で極点に変動することもあります。例えば白衣高血圧は有名で、医者などの白衣を着た人間などの前でだけ、緊張して血圧が高くなります。血圧はこのように変動のある検査値です。

 

では、このように変動する血圧をどうのように評価して、自分が高血圧かどうかを判断し、診断を受ければいいのでしょうか。

 

非現実的ではありますが、本当に血圧を正確に測定するのであれば、測定したい場所の血管(動脈)に圧測定用のコンデンサを留置して、それをモニタリングするのが一番確実な圧を測定できます。

 

これに関しては、実は静脈系ではこのようなシステムは存在し、心不全領域で用いられています。

心不全患者では、慢性的な安定した心不全状態から入院が必要な呼吸困難や浮腫などを伴う状態になる過程のかなり早い段階に右心室系(ざっくり静脈から肺循環と思ってください)の圧上昇がみられます。そのため、右心室から肺へ行く間にある肺動脈というところに、小さなコンデンサをカテーテルを使って留置します。そのコンデンサの圧をBluetoothなどでデータを体外の受信機(ネットや電話回線につながっているデバイス)に送って圧を記録します。

ある一定の圧を超えると管理している医療機関にアラームが届き、それにより来院を促したり、追加の利尿薬を服用してもらったりして、入院が必要な状態を回避するシステムです。

 

このように、もっと小さく安全にしたコンデンサを動脈に導入すれば正確な圧を24時間測定できます。しかし、肺動脈はある程度分岐した後の細い領域であれば、多少閉塞しても大きな問題にはならないなど、動脈にはない安全域の広さがあることや、もともと簡単には測れないなどの理由で導入されたという経過があります。

動脈に関しては、上腕などの駆血(動脈を外から圧迫して血流を遮断できる)できる場所であれば、ある程度正確に圧が測定できるため、動脈に直接コンデンサを留置する必要性は低いのです。

(ただし、安全な血管内コンデンサができたり、血管の外にコンデンサを張るなどで、安全になれば、24時間計測は可能になると思います。ただし、重症高血圧などの一部患者に限定されるとは思いますが)

 

(血圧の測定)

血圧の測定の方法は、大きく分けて3種類あります。

(1)診察室血圧、(2)家庭血圧、(3)24時間自由行動下連続血圧です。

後は、信頼性は低くなりますが、あえて加えると外出先(ジムや公民館など)で測定する血圧でしょうか。

 

何かの理由で、内科などに通院している方や健康診断を受けていらっしゃる方は、診察室などで血圧を測定することがあると思います。このような状況で測定された血圧を診察室血圧といいます。

ただ、問題は診察室の血圧の測定方法が下図のように決められているのですが、なかなか、日常の診療や健康診断での診察時間の中でこのような測定を行うことは困難であるのが実情です。

そのため、評価に値する正しい検査値が得られていないことが多いと考えますので、きちんと測定できていない場合には、あくまで参考値として、家庭血圧をきちんと図って評価することが重要です。

 

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(高血圧診療ガイドライン, 日本高血圧学会発行 より引用)