健康リブ ー健康に生きるために病気を知るー

セミリタイアした医者のブログ。元気に長生きするためにしっておいてほしいこと。平日は毎日更新していこうと思っています。

高血圧とは。そもそも血圧とは何か。治療はした方がいいのか。(13)

では、具体的な治療であるが、減塩に関しては、個別の本を勧めることはしたくはないが、国立循環器病研究センターのかる塩レシピが参考になります。

塩分は4-6gが目標です。

高血圧患者に対しては、塩分制限だけではなく、DASH食という食物繊維や果物の多い食事を併用するほうが降圧効果が優れているとわかっています。カリウム摂取量が増えることも降圧に関係しているため、DASH食による効果はカリウムによるところが多いのかもしれません。

ちなみに、以前にお話したようにアルドステロンは、カリウムによって低下します。

 

 

また、運動に関しては、一言に運動といっても強度、持続時間、頻度などいろいろな条件があります。

現時点で、ある程度臨床試験の結果などからお勧めできるは、少し早歩きで、20分以上を1日2回、週4日以上。少し早歩きというのは、10%程度で、30分の道のりを25分少し程度で行く感じ、かつ、歩きながら会話を続けられる程度の歩行ということになります。

また、下腿と大腿を中心として、低強度の筋肉トレーニングの併用も有用です

これ以上の運動が、体にいいかどうかはわかりません。インテンショントレーニングの試験結果もありますが、少数であり、また、高血圧などに対しての試験ではないため、短時間・強強度の運動がいいかどうかはわかりません。

健康のための運動として、過度な負担のかかるスポーツはお勧めしません。冗談ですが、学生時代に、何故クラブをするかという問いに、健康のためと答えると、それはないと即座に否定されるということがありました。日本の学生スポーツの運動強度は、健康のためにはなりません。

また、個人的な見解ではありますが、特に心疾患のある人の水泳はお勧めしません。なぜなら、心疾患のある人は、ある一定の確率で致死的な不整脈を起こすことがあるためです。陸上で不整脈を起こしても倒れても、その後直ちに処置を受けられる可能性が高いですが、同じような状態でも水の中で起こると、まず陸に引き上げてという作業が余分にかかります。意識のない人を水中から陸に上げるというのは、なかなか大変なので時間がかかるようです。陸上で起こっていればと助かったかもしれないという方がいるのは確かです。そのため、特に心疾患などで致死的な不整脈が生じる可能性がある人に関しては、水の中での運動はお勧めしません。

 

もちろん、喫煙もお勧めできません。喫煙に関しては、癌についてはよく言われていますが、癌以上にもっと確実に来るのが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と動脈硬化です。

COPDは最近かなり有名となってきた疾患です。酸素ボンベをもって歩いている方の多数を占めるのが、このCOPDです。呼吸不全のため運動もできなくなり、栄養摂取も不十分となり、呼吸筋がやせてしまう。これによりさらに呼吸不全が進み、栄養摂取が不十分になるという負のスパイラルとなります。また、肺の組織が壊れ、呼吸筋の筋力不足で肺の中の換気が著しく悪くなり、また、感染を起こしやすくなります。

COPDが医療者にとって、やっかいなのは、なんらかの原因で、血液の中の酸素が少ない病気(肺炎とか心不全とか)になったときに、普通であれば、簡単な方法で酸素投与(カヌラとか酸素マスクかと)を行うだけでいいのですが、COPDの方は、酸素投与を慎重に行い、必要であれば、特殊な機械につながった陽圧換気という方法をとらないといけません。なぜかというと換気が不足しているので、肺の中の二酸化炭素が貯まっていき、さらに、肺胞の二酸化炭素が高くなると血中の二酸化炭素が高くになり、しばらくその状態が続くと延髄の呼吸中枢を麻痺させることで、呼吸停止となってしまいます。

このように、COPDの方は、基礎体力がないですし、感染しやすく、酸素管理が非常に繊細ということで、医療者泣かせな慢性疾患の一つです。

また、動脈硬化も起こします。肺の末梢(肺胞)では、空気と血管の間の物質の交感が行われるために、直接肺胞が壊れていく(肺気腫)だけでなく、たばこの有害な物質が直接血管の中へ移動します。これが動脈に対して障害的なストレスを引き起こして、動脈硬化が起こるといわれています。動脈硬化が起こると、血管の弾性が少なくなり、高血圧をきたす原因になりますし、心臓を栄養する血管(冠動脈)や脳血管、下肢血管などの動脈硬化は、血流障害を起こし始めると臓器障害の原因となり、また、当然訪れる心筋梗塞や脳梗塞も素地として強い動脈硬化があります。

喫煙されている方は、癌だけでなく、必ず引き起こされるCOPD、動脈硬化などといった疾患も意識していただきたいと思います。