心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

高血圧とは。そもそも血圧とは何か。治療はした方がいいのか。(14)

(薬物治療の開始時期)

高血圧の治療で、まずお話ししたように塩分の制限やDASH食に近い食事(*)、運動習慣の確立を行います。そのうえで、それでも血圧の高値が続くようであれば、今は薬物治療ということになります。

(*)DASH食:Dietary Approaches to Stop Hypertensiona
多めにとったほうがよい(基礎疾患によりだめな時もあります)ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム)、食物繊維、たんばく質を多くとり、飽和脂肪酸などを減らすようにした食事です。野菜、果物、低脂肪の乳製品、魚、大豆製品、海藻を増やし、揚げ物などの酸化脂質などを減らすことです。

 

薬物治療を始めたほうが良い血圧に関しては、家庭血圧で、半分以上の140/90mmHg以上ということになります。ただ、その人の年齢や基礎疾患により変わってきます。基本的には基礎疾患のない元気な方という前提です。高齢者はもっと緩やかですし、糖尿病と腎疾患を持っているような若年者であれば、もっと厳しい設定になります。

また、目標とする血圧ですが140/90mmHg以下を目指すのがいいとされておりますが、個人的には135/85mmHgをしっかりと目指すくらいで、まずはしっかりと行うのが良いと思います。よほどの血圧の高値でなければ、慢性疾患ですので、少しずつ内服を調整し、目標血圧にもっていくということが重要であろうと思います。

一度薬の種類や量が決まって安定すれば、飲み続けること、家庭血圧をきちんと測ることが重要です。

降圧を始めたなら、あまり中途半端なところで薬を調整せず、ひとまず、内服を数種類飲んででも目標血圧を下回るところまで血圧を調整したほうが良いと思っています。

それで、その内服を続けて、減らせそうなら減らすというスタンスのほうが、高血圧による疾患の予防には有効です。

もちろん、薬剤による副作用もありますので、少量から増やして、薬剤増量直後は早めに医療機関を受診することが大事です。

 

高血圧の内服は、基本的に根治するものではなく、できてしまった高血圧の体質に対して、血圧をあげる仕組みに寄与しているホルモンなり、構造なりにたいして、それの血中濃度を下げたり、ブロックしたりすることで、血圧を下げるようにしているだけですので、薬をやめれば血圧は再度上昇します。

ただ、初期の段階でしっかりと飲めば、内服を中止することができる人がいるもの事実です。

推測ですが、血圧をあげるような血管不全や経時的悪化した塩分感受性などは、機能的低下(細胞やその集まった組織の可逆的な機能低下)の段階であれば、薬剤で血圧をあげている状態をしっかりとリセットすることと、その間に禁煙や塩分制限、運動習慣の獲得ができていれば、薬剤を中止することが可能なのかもしれません。

逆に、5年10年と高血圧を食事、運動習慣なども含めた治療を行わずに放置し、さらに、糖尿病や脂質代謝の異常なども併せて生じているような人は、多少薬をのんでも下がらずに、多剤必要なことも多いと思います。

早めの状態把握、2つの診断、薬剤以外の治療介入、必要な状況になれば速やかに薬剤治療介入が望まれます。

 

高血圧に対して、運動・食事にしろ、薬物治療にしろ、やるなら早めがいいと思います。薬剤の副作用に関しては、降圧薬に関しては、長期投与であるからといって、副作用が時間依存に増えることはほとんどありません。基本的に副作用が出るのは、初期がほとんどです。

治療をやらないと決めたら、それはそれでもいいと思います。

絶対に、みんな高血圧の治療をしたほうがいいとは言いません。人は、何で死ぬかわかりませんし、多少高い血圧を治療しても、みんなが動脈硬化性疾患になるわけではなく、多くの人は中高齢のガンや超高齢期の感染症になれば血圧はあまり関係ありません。ただ、高血圧を長期間患うと腎機能の低下などが起こりますし、脳に以前は虚血性変化といわれた変化が、高血圧患者に多いので、脳にもある程度影響があると思われます。腎機能が低下すると、抗がん剤や抗生剤の使用できる薬剤の制限や量の調整が必要人あったり、造影検査がやりにくかったりしますので、高血圧を放置するリスクも理解しておく必要があります。

多少脅したようになりますが、血圧を治療する、しないの最終決定は患者さん個人の問題です。

ただ、その判断材料となるようにこのブログがありたいものだと考えています。

 

私個人としては、治療はやるなら、早めがいいというは思います。