家庭血圧の測定は、高血圧の診断でも重要で、治療過程でも非常に重要です。
現時点では、可能な限り自宅で毎日朝・夕に血圧を測定していただいて、それを何らかの方法で記入していただいたもの(たいていは血圧手帳)を外来に持参いただき、それを参考にして、治療の目標範囲内にあるかどうか判断して、処方する内服を調整しています。
時折、エクセルでもってきていただけることもありますが、これであれば、平均値や140/90mmHg以下の日数の割合なども簡単にわかりますので非常にありがたいです。
今後は血圧計が測定された血圧を自動的に記録して、なんらかの方法でかかりつけ医にデータを送るようになっていくと思います。
少し前の臨床研究論文を紹介します。
Margolis KL, et al. JAMA. 2013 Jul 3;310(1):46-56.
Effect of home blood pressure telemonitoring and pharmacist management on blood pressure control: a cluster randomized clinical trial.
450人の患者さんを2つのグループに分けて、1つのグループは、テレモニタリングという遠隔でデータを送る方法で、自動的にデータを収集して、そのデータをもとに内服調整をしていきます。もう一つのグループは、今まで通りに治療を行っていきます。この状態で、1年間治療を行って、さらに、介入をやめて6か月経過を追うというものです。
この時の目標血圧は 140/90mmHg未満で、糖尿病と慢性腎不全のある人は130/80mmHg未満となっています。
結果としては、モニタリンググループでは、72%の患者さんが目標血圧に達しましたが、通常治療の患者さんでは57%でした。また、もちろん血圧値でもモニタリングした患者さんのほうが血圧が低い結果でした。
また、最近の論文ですが、
McManus RJ, et al. Lancet. 2018 Feb 27.
これでは、さらに一歩踏み込んで、通常治療グループと、遠隔治療グループ、さらに遠隔の治療を受けながら、自分で血圧をみながら一定のプロトコールに沿って内服を調整するグループの3つに分けられました。
その結果、あとの2つのグループは同等に、通常治療のグループよりも良い結果でした。
このように、血圧を測定し、遠隔治療でもなんでも、血圧を自動的に測定し、最適なタイミングで治療を調整することが、よりよい血圧のコントロールが可能になると思われます。
自分の血圧を把握し、外来予約のタイミング以外でも、介入可能な状態が重要だと思います。
不整脈領域では、このようなシステムが一般化されていて、不整脈が起こったら、かかりつけ医のパソコンなどにアラートの知らせが来ますので、すぐに対応することが可能です。
先日、友人から、血圧計などの統一規格として、コンティニュアというのができていると教えてもらいました。
こういうのは浸透すると一気に普及すると思いますので、期待したいです。