心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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CAVIとはなんだ? 

CAVI (心臓足首血管指数:cardio-ankle vascular index)

 

CAVI検査は、血管の硬さをみる検査です。値としては9以下が正常とされ、10以上は血管が硬くなっているとされます。

 

血管は年齢とともに硬くなっていってしまいますが、他にも動脈硬化を起こすといわれる疾患で高値を示すといわれており、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常、肥満、喫煙で高値を示します。また、動脈硬化による疾患といわれている冠動脈疾患や脳血管障害、また、動脈そのものの炎症性疾患である動脈炎などの疾患でも高値を示します。

特に原因となる疾患を治療することにより、半年程度の経過で改善するといわれています。

ただ、このCAVIの値が高いから、低いからといって、各疾患の治療の方針などが変化することはありませんので、あくまで参考程度の検査ということになります。

あえていうと、脂質異常で、LDLコレステロール 140-160mg/dl程度で、CAVI10程度の方は、脂質異常の治療を考慮してもいいのかもしれません。(あくまで私見です)

 

さて、ではCAVIとは何なのかということです。

心臓からは、収縮期のみ血液が拍出されます。心拍数の数だけ、バン、バンと血液が心臓から血管に送り出されます。

血液が心臓から血管に出た後、血管は硬い管ではなくて、出てきた血液を受け止めるように膨らみながら血液を流していきます。この時に、海で波が実際の海水の動きより先に波として伝わるように、血液が実際に動くより早く、エネルギーが伝わっていきます。そして、海の波が押しては引くように、血管の末梢のほうでは、血液が停滞しますので、その停滞を反映してエネルギーは逆流し、波が引いていくように心臓方向への波となっていきます。この時に、順方向の波と逆方向の波が打ち消しいます。

この波の伝達速度を脈は伝達速度(Pulse Wave Velocity, PWV)といいます。

 

次に、心臓から出た血液が血管を膨らませながら進んでいきますが、この膨らむときの圧力と血管の容積の変化を、スティッフネスβという値で規定されています。

 

すなわち、スティッフネスβとは、収縮期と拡張期で変化した血圧(脈圧)あたり、どれだけ血管の容積(血管径)が変化したかということであり、少ない血圧変化で大きく血管径が変化すると柔らかい血管であり、動脈硬化を起こすと、血圧変化のわりに血管径の変化が少なくなるということを示唆しています。

 

このPWVとスティッフネスβに関しては、互いに関係し、それが一つの等式で表現できるということが示されています(Bramwell-Hillの式)

この等式を、いくつかの条件を固定したうえで、等式変形させて、心音と上下肢の血圧を測定することで固有値としてもとめることが可能になりました。これが、CAVIです。

そのため、CAVIは何かの値というよりは、ただの数でして、数学的に定義されたこの数値が、9という閾値をもって、動脈硬化性疾患の予測が可能ということが臨床的に求められたため、現時点でCAVI  9以下を正常としています。