心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

高血圧とは。そもそも血圧とは何か。治療はした方がいいのか。(8)

(24時間自由行動下血圧測定)

診察室の血圧や、ジムで測るような血圧には、高血圧かどうか診断できる精度はありません。

確かに、診察室血圧は、ガイドラインでもある程度認められている値です。しかし、これは、すべての診察室血圧を認めているのではなく、正しいやり方で測定された、例えば臨床研究などの時に測定された診察室血圧はある程度信頼できるということです。

日本の病院などのように、病院についてまず測定とか、診察室に入って座った直後に測定といった方法では、正確性はありせん。臨床試験の時には、どのように血圧を測定したか、詳細に記述しなければなりません(何分以上安静にして、座位で、だれが測定したとか)ので、ガイドラインが推奨している安定した血圧が出る可能性が高いということが前提になっています。(もちろん観察研究とか血圧が重要でない項目の研究は別ですが)

 

家庭血圧は、きちんと測定すれば非常に有用です。1か月も測定すれば、非常に多くのデータが得られますので、十分に診断可能です。

しかし、一番正確に、さらに時間毎、行動毎の血圧の変化を測定できるのは、この24時間自由行動下血圧測定です。

 

これは、携帯型の血圧計を使用して、15-30分毎(私は30分毎にしています)に血圧を自動で測定して、記録するものです。

24時間血圧計を用いると、日中、夜間就寝時に平均どの程度の血圧で経過しているのか、正確に診断できます。

普通の血圧の人は、就寝時には、日中より平均血圧が10-20mmHg程度低下して経過し、起床とともに上昇し、日中の生活の中で変動します。実は、この変動も重要なのですで、後述します。

現時点で、血圧を評価するのには、この24時間の日中と夜間のそれぞれの平均の血圧を持って診断するのが一番正確であろうと考えています。

血圧が高いかどうかは、短期的には脳卒中を、長期的には、心筋梗塞や腎不全、脳梗塞に強く関係する、人生の重要事項であり、塩分制限や、場合によっては薬物治療が必要となってくる疾患です。

そのため、一番最初の診断の時には、一度24時間血圧をしてみてはどうでしょうか。

私は、なんらかきっかけで高血圧と指摘された方が初めて来られたら、緊急性のあるような血圧でなければ、まず1週間自宅血圧をお願いします。

それで、大丈夫かどうか判断して、高血圧でなければ、1週に1-2回程度でいいので計測を継続して頂きます。あとで述べますが、いわゆる白衣高血圧などの人に薬物治療などはいらないとされていますが、将来的に高血圧になるリスクは高いといわれています。そのため、負担にならない程度に血圧の測定を続けていただき、血圧が上がってきたら、また、来院するように伝えていました。

また、明らかに治療が必要な人でなければ、できるだけ、24時間血圧を測定して、その数値を説明したうえで、本人に、まずは、塩分制限、ウォーキング、低強度の筋トレを指示します。

その後は、家庭血圧で、降圧の程度を一緒にみていくようにしています。

 

24時間血圧は、それなりに大変ですが、夜間の状態や、家庭血圧を測定するときの血圧は24時間の中ではどの程度なのかといった情報があり、それ以降の治療に非常に有用であると考えていますので、診断の際に可能であれば、一度考慮されてもいいかと思います。