心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

TR(5):三尖弁閉鎖不全症の重症度評価

三尖弁閉鎖不全の重症度自体はほかの弁膜症ほど客観的な評価が確立しているわけではありません。AHAのガイドラインを参考にすると、次の4つを評価するようになっています。 ♯AHAの基準を参考に、一部エコー専門のASE(American Society of Echocardiography、…

TR(4):三尖弁閉鎖不全症(原発性)の原因と、それに関連する諸々

三尖弁閉鎖不全(TR)の原因の多くは、心不全に伴う機能性不全がほとんどで、弁自体の異常によるもの、いわゆる原発性三尖弁閉鎖不全症は少数派ですが、経験することはあると思います。AHAのガイドラインなどを参考に原発性の原因を列記します。 原発性​​・リ…

TR(3):三尖弁閉鎖不全症の血行動態

TR(三尖弁閉鎖不全)の原因は、僧帽弁閉鎖不全症と同じように弁自体に異常のある一次性(Primary)と、弁自体には異常はない二次性、別の言い方では機能性(functional)とに分けられます。 日常的にみるのは、心不全に伴うTRだと思います。これは、心不全が安定…

TR(2):三尖弁の構造

三尖弁の構造は、もちろん名前の通りに3つの弁からなり、中隔尖、前尖、後尖といわれます。 弁は、腱索によって心筋とつながっており、心房側への過剰な動きを制限しています。ただ、これによって心室側への伸展が強くなると腱索によって弁が心室側に引っ張…

TR(1):三尖弁閉鎖不全症とは

三尖弁閉鎖不全症は、英語で、tricuspid valve insufficiencyですが、略号では、三尖弁逆流の略であるTR(tricuspid valve regargitation)と表記されることがほとんどです。大動脈弁閉鎖不全症は、ほとんどARですが、AI(aortic vavle insufficiency)と略すこ…

AR(12):ARの非代償性心不全の治療の注意点と思い出ーARは頻脈がお好きー

大動脈弁閉鎖不全症(Aortic valve regurgitation, AR)による非代償性心不全の治療についての、ちょっとした注意点です。​ちなみに、非代償性心不全というのは、慢性心不全の中で、うっ血や低潅流による症状が悪化して不安定化している状態の心不全のことを言…

AR(11):重症度分類と心機能を、ガイドラインに沿って

AHAのガイドラインで、心機能に関する記述を示しながら、注釈のような感じでみていきたいと思います。AHAのガイドラインでは、Systolic function(収縮機能)はLVEF(左室駆出率)で、LV volume(左室容積) (dilatation(拡大))は、LVESV(or LVESD)(左室収縮末期容…

AR(10):心機能評価指標について

ARの診断し、重症度を評価する中で心機能も重要な要素として診断基準の中に加えられています。​AHAのガイドラインの中では、左室の駆出率(LVEF, left ventricular ejection fraction)と左室の収縮末期径(LVESD, left ventricular end-systolic diameter)によ…

AR(9):腹部大動脈の拡張期逆流波形(Holodiastolic flow reversal in the proximal abdominal aorta)

重症度評価の項目で、高度かどうかをみるのに重要な評価項目がHolodiastolic flow reversal in the proximal abdominal aortaです。これは、腹部大動脈に拡張期の逆流があるかどうかという指標で、これがあると高度であるということなります。 測定の方法と…

AR(8):PISA法による重症度評価

Mild AR: ERO <0.10 cm2​, RVol <30 mL/beat​, Moderate AR:​ ERO 0.10–0.29 cm​2, RVol 30–59 mL/beat, Severe AR: ERO ≥0.3 cm2​, RVol ≥60 mL/beat, 今回は、PISA法(Proximal Isovelocity Surface Area)法といわれる方法についてです。この項目も大半は、…