心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

AR(7):連続の式による重症度評価

(RVol:逆流量, RF:逆流率) Mild AR: RVol <30 mL/beat​ and RF <30% (両方を満たす必要あり)​ Moderate AR:​RVol 30–59 mL/beat​、RF 30%–49%​ (基本的にはmildでもなく、severeでもないものがmoderateになる) Severe AR:RVol ≥60 mL/beat or RF ≥50% (どち…

AR(6):AR jet width と vena contracta

Jet width of LVOT (左室流出路の断面におけるARジェットの占める面積率)​ Mild AR <25% of LVOT​ Moderate AR 25%–64% of LVOT​ Severe AR ≥65% of LVOT; ​ ​ Jet width of LVOTとは、LVOT(左室流出路)の断面像で、ARの逆流ジェットの断面がどれだけの面積…

AR(5):重症度評価に用いられる心エコー指標

大動脈弁閉鎖不全症の診断には心エコーが必須です。 心電図やレントゲンなどは、なんとなくの心機能障害や心不全の状態を把握するのには有用ですが、大動脈弁閉鎖不全の診断そのものには、関係ありません。​ 身体所見にも特徴的な所見はありますが、あくまで…

AR(4):大動脈造影の注意点と評価基準

ゴールデンスタンダードといえるカテーテルによる大動脈弁閉鎖不全症の評価です。 大動脈造影といって、大動脈に造影剤を十分に投与して大動脈から弁逆流がどれだけ起こっているのかを観察する検査になります。 検査の方法としては、まず大動脈造影用のカテ…

AR(3):重症度評価とその難しさ

大動脈弁閉鎖不全の重症度の評価は、細かくは5段階にわかれますが、実質的には4段階になります。細かく分けると、none(なし)、trace(わずか)、mild(軽度)、moderate(中等度)、severe(高度)の5段階ですが、traceはごくわずかという感じですので、noneと合わせ…

AR(2):原因と、昔の思い出

www.kenkohlive.com 大動脈弁閉鎖不全症の原因で多いのは、加齢性変化、二尖弁、大動脈弁輪拡大、大動脈弁の逸脱症ではないでしょうか。時折、大動脈炎などに合併したものもみますが、リウマチ性変化はかなり減っていると思います。他には、感染性心内膜炎は…

AS(8):手術治療と傍胸骨右側からの観察

大動脈弁狭窄症そのものの治療は、手術です。 その前に、心エコーで大動脈弁の石灰化が非常に強い時には、傍胸骨左側や心尖部からのアプローチでは石灰化が強く、その先の深いところにエコーが届かずに、大動脈弁狭窄の狭窄後の血流をとらえることができず、…

大動脈弁の構造

今更ですが、大動脈弁の解剖です。 3つの弁で構成されています。3尖弁です。 左室短軸のレベルを上にあげていくと大動脈弁の正面像がみえます。 上に右室がみえて、左下に右房、真下から右下にかけて左房がみえます。 大動脈弁の上の右室側になるのを右冠尖…

AS(7):ASの心不全治療の注意

大動脈弁狭窄症に合併する心不全に関しては、代償性心不全の状態にすることが重要です。大動脈弁狭窄に限らない話ですが。 心不全を合併している高度大動脈弁狭窄症は手術ということになりますが、できる限り代償化させる努力を行う必要はあります。 かなり…

AS(6):失神・狭心症状は、本当にすぐに手術が必要

大動脈弁狭窄症の治療に関しては、比較的ガイドラインで統一されているといえます。 高度で症状があるものは、手術。 高度でも、超高度といわれるものやそれに近いものに関しては、無症状でも手術を積極的に考慮する。 高度ではあるが、ぎりぎり高度で症状の…