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AS(7):ASの心不全治療の注意

大動脈弁狭窄症に合併する心不全に関しては、代償性心不全の状態にすることが重要です。大動脈弁狭窄に限らない話ですが。
心不全を合併している高度大動脈弁狭窄症は手術ということになりますが、できる限り代償化させる努力を行う必要はあります。
 
かなり若いころに、心臓外科の副院長先生に、「肺をドライにしてくれたら、術後の合併症が全然ちがうんや」といわれました。本当にその通りだと思います。年を経るにつれ、その言葉の重要性を認識しました。
個人的な意見ですが、強心薬を使ってでも、補助循環を使ってでも、できうる限り術前に、うっ血を改善させることを目標にしました。
術後の合併症の半分は、術前の管理をしていた循環器内科医の責任だと思っています。(特に創部感染や術後の肺炎などはうっ血を開場しているほうがなりにくいと思います。)
一般的にかなり重症といわれる心不全の治療をしていた経験がありますが、この方針は間違っていないと思っています。
 
 
大動脈弁狭窄による心不全は、うっ血だけのことが多いです。
一般的に、大動脈弁狭窄の場合には血管拡張薬は禁忌ですが、うっ血の強い場合には、血管を拡張させても、循環血流量が低下するほどには前負荷が低下しないため、使用してもかまいません。
(大動脈弁狭窄症の狭心症状にニトログリセリンを処方すると、かなり危険です。というよりも、致死的になりうります。狭心症状を訴えても、心雑音が大動脈弁狭窄症を示唆する時には、ニトロはやめて、すぐに循環器内科へ送りましょう)
 
ただ、ここで考えていただきたいのは、血管拡張薬は心不全に必要な薬でしょうか?
心不全の治療で何のために血管拡張薬を使うのでしょうか?
心不全の治療でお話ししますが、それぞれ使用する薬には意味があります。目の前にある心不全の病態と、使う薬やデバイスの効果を考えて使わなければなりません。
 
多くの大動脈弁狭窄による心不全の場合には、利尿薬と酸素投与で治療が可能です。というか、多くの非代償性心不全はこれだけで治療可能です。
静注でも、経口でも、トルバプタンでもなんでも結構ですので、目の前にあるうっ血の治療を行い、うっ血を改善させた代償状態にしましょう。それが維持できれば、手術は特に急がずに、粛々と進めれば大丈夫です。
ただ、すぐに非代償化する場合や、治療をしてもぜんぜん代償化できないときには話は別です。
 
大動脈弁狭窄による心不全で、その狭窄を改善させなければ、どうしても治療が進まず、悪化していく時があります。特に循環不全の所見がある時です。
強心薬を使っても、透析のシステムを使って水を引いても、短期的に補助循環を使っても、どうしようもない時があります。
その時には、2択だと思います。
バルーンで一時的に広げてみる(BAV)か、そのままカテーテル的に大動脈弁を置換する(TAVI)かだと思います。
 
施設の状況にもよると思いますが、意外にBAVだけでも結構好転することがあります。
ただ、BAVまでするなら、造影CTをしておけば、可能な施設であれば、TAVIもできます。
緊急避難的にBAVをして、何とか立ち上げる。その後、安定させてTAVIがいいとは思いますが、この辺りは、施設の問題と患者さんの状態を総合的に判断してということになるとおもいます。