心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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大動脈弁の構造

今更ですが、大動脈弁の解剖です。
3つの弁で構成されています。3尖弁です。
左室短軸のレベルを上にあげていくと大動脈弁の正面像がみえます。
 
上に右室がみえて、左下に右房、真下から右下にかけて左房がみえます。
大動脈弁の上の右室側になるのを右冠尖といい、右冠動脈が分岐しています。
左下にあって、ちょうど延長線上に心房中隔がみえるのが、無冠尖です。冠動脈はありません。
右下にあるのが、左冠尖です。左冠動脈が分岐します。
 
いわゆる、心エコーで傍胸骨左室長軸像でみられているのは、画面上が右冠尖で、下が無冠尖になります。
時折、右冠尖から大動脈に平行に、右冠動脈の根元(?)がきれいにみえることがあります。
 
大動脈弁には僧帽弁や三尖弁と違って、腱索などの支持組織はありません。構造的に3つの弁が合わさることで翻転しないようになっています。
 
 
二尖弁という先天性疾患があります。心疾患で最も多い先天性心疾患だといわれています。
二尖弁には、完全に弁が2つで、大きな半円形の弁と小さめな半円形の弁の2つによる二尖弁と、三尖弁に近い形で、どれか2つの弁が癒合しているタイプの二尖弁とがあります。癒合部をrapheといって、どことどこが癒合しているかを観察することも重要です。
また、弁口の形が違うと、力学的に同じ弁口面積でもけずられるエネルギーに違いが出ると思いますが、そこまで細かいことは特に気にしなくてもいいのかもしれません。
(大動脈弁狭窄症の本質は、狭窄でどれだけのエネルギーが削られてしまうかということですので、本来であれば、抵抗としての弁狭窄を考える必要があり、そうであれば、弁口面積だけでなく弁の形も重要なのかもしれません。また、これを考えると連続の式で求められる有効弁口面積は、弁口の形によっては、実際の弁口面積とずれていることもあるかもしれませんが、エネルギー的にはこちらのほうがいい評価項目なのかもしれません)
 
弁だけではなく、大動脈の基部といわれる大動脈弁に近いレベルの大動脈が拡大しているかどうかも重要です。
時折、かなり拡大していることがありますし、二尖弁などの場合では、大動脈が普通よりも弱いらしく、縫合などにより一層の注意がいるらしいです(心臓外科の先生談)。
 
エコーで見る時には、弁に少しランブル疣贅といったポリープのようなものがついていたりします。
経過を見るだけでいいか、経食道エコーでしっかり観察したほうがいいかを判断しましょう。
たいていは、大きさと弁との付着の具合、弁自体の破壊の有無を見ていて、2-3mm程度で弁と糸のようなものでつながっているときには、ただのランブルのことが多いですが、できれば数か月程度あけて経過を見るようにはしたいものです。