重症度評価の項目で、高度かどうかをみるのに重要な評価項目がHolodiastolic flow reversal in the proximal abdominal aortaです。
これは、腹部大動脈に拡張期の逆流があるかどうかという指標で、これがあると高度であるということなります。
測定の方法としては、非常に簡単で、患者さんに仰臥位になってもらって、心窩部から胸部-腹部大動脈を描出します。胸部から腹部へは移行部では、背側から腹側に向かっている(画面でいうと下から上方向へ)大動脈が描出されますので、その上がってきている部分でパルスドプラーを当てます。できるだけ、上向きに立っている部分で測定するほうが測定はしやすいです。
平行部分しか見えないときには、頚動脈や腎動脈の測定に設定を変更して、平行部分で測定できるように変更します(やったことはありませんが)。
また、エコーの設定としては、パルスドプラー測定画面で、いつもはきっとほとんど触ることはないであろうフィルタの設定が必要です。
フィルターは、ベイスライン付近の波形を出すかどうかに関する設定で、このフィルターの設定を上げて強くすると、ベイスライン付近の波形が消えます。
普段は、最高血流(EとかAとか)を計ったり、傾斜を計ったり、VTIを計ったりなので、フィルターを強くしてベイスライン付近を消してもあまり問題にはなりませんが、大動脈弁閉鎖不全症の逆流波形は、静脈波形のように低いなだらかな台のような形になりますので、フィルターは弱く、ベイスライン付近の波形がしっかりと出るようにします。
ゲインに関しては、通常の収縮期の波形がきれいに見えるように調整してください。そのゲインで、ベイスライン付近に逆流波形が認められれば陽性所見となります。
これがみえると、一発高度判定になります。
私個人的には、ARをみたときには、まずは、左室流出路内の見た目で重症度のあたりをつけます。みているのは、逆流カラーの太さとその時間変化です。
高度であれば、太い逆流が安定して吹いています。
間違いなく高度だと思うときには、客観的な計測値として、vena contractaを測定して、腹部大動脈の逆流波形を取りに行きます。
それで、vena contractaで高度の基準になって、腹部の大動脈の逆流があれば、高度として診断します。
高度か中等度か迷うときには、連続の式で逆流量と逆流率を出して、終わりにすることが多いです。
また、自分で出した重症度をカンファレンスでみんなに信じてもらえないかなと思ったときや、検査の時間があるとき(普段から測定していないといざというときに正確に測定できないものですし)には、連続の式は出します。PISAは、ARに関してはやるときのほうが少ないかもしれません。ただ、これもやっておかないといざというときにはできませんので、初めのうちはやることをお勧めいたします。