心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(50-2:心不全に必要な腎臓の知識、糸球体ろ過量の測り方)

腎臓の機能において、糸球体濾過量は非常に重要な指標であり、また、これは心不全においても重要です。 糸球体濾過量は、腎臓の長い毛細血管の毛玉である糸球体において、圧力濾過される血液の血漿の量です。 これを測定する方法についてのお話です。 まず、…

心不全のすべて (50-1:心不全に必要な腎臓の知識、腎臓と糸球体ろ過量)

心不全に関係するバイオマーカーとして、腎機能は非常に重要です。 心不全を見るうえで重要な腎機能に関してみていきたいと思います。 心不全という視点で見た時に、腎臓の働きに関しては、2つの重要な働きがあります。 一つは、尿をつくる。もう一つは、ホ…

心不全のすべて (49-4:BNP, 無症状時のBNP測定後の対応はどうすればいいか)

BNPは、心臓、主に心室に負担がかかった時に、心室の心筋細胞が伸展されることを刺激として、生成、分泌されます。 そのため、心室に負荷がかからない僧帽弁狭窄症などではあまり上がりません。 BNPの生成は、proBNPという紐のついた輪っかのような前駆体が…

心不全のすべて (49-3:BNP, BNPの作用)

ANPやBNPの作用は、細胞の表面についている受容体という突起物にくっつくことで発現されます。 ANPやBNPがくっつく受容体をNPR-A(A型ナトリウム利尿ペプチド受容体, natriuretic peptide type-A receptor)といいます(GC-Aということもあります)。また、NPR-B…

心不全のすべて (49-2:BNP, BNPは心不全に対して保護的に作用がある)

何かの病気の時に変化する血液検査のバイオマーカーというのは、そのものが何か悪さをしていたり、逆に、病気をよくするために上がっていたりと様々です。 心不全の場合には、大きく二つに分かれて、一つは、交感神経刺激やレニン・アンギオテンシン系のよう…

心不全のすべて (49-1:BNP, BNPとは)

最近発表された2017年改訂版 急性・慢性心不全診療ガイドライン(日本循環器学会 /日本心不全学会合同)にも、BNP(及びNT-proBNP)は、心不全の診療において別格であると記載されているように、診断から治療経過、予後予測などのあらゆるステージにおいて有用…

心不全のすべて(48:血液検査)

心疾患に関連する血液検査項目は多岐にわたりますが、臨床で利用できる中で、心臓に何らかの異常があるときにのみ異常値を示すのは、実質的には2種類で、BNP(or NT-proBNP)とトロポニンT(or トロポニンI)です。 最近の報告では、sST2(Soluble suppression of…

症例集 1.若年女性の呼吸不全

ー症例1(実際の症例を基にモデル化しています)ー私が若いころに、呼吸困難で運ばれた若い女性をみたことがあります。 救急隊からのふれこみで、気管支喘息で治療中とのことでしたので、きっと気管支喘息の発作だなと思いました。救急搬送され、病院に到着し…

心不全のすべて(47-4:胸部レントゲン、胸水)

胸水は、少量であれば、超音波のほうがみやすいですが、ある程度の量があるときには、レントゲンのほうが適しています。 何故胸水ができるのかは、以下を参考にしてください。 www.kenkohlive.com 胸水をレントゲンで評価するときには、胸郭と横隔膜のライン…

心不全のすべて (47-3:胸部レントゲン、肺水腫)

肺水腫は、本来ある肺血管の陰影以外の間質や気管支・肺胞レベルに水が漏れている状態ですので、よほどレントゲンの撮影条件が悪くない限り、しっかりと診断できると思います。 また、肺水腫があると、うっ血と違って、ほぼ間違いなく呼吸困難や喘鳴があった…