胸水は、少量であれば、超音波のほうがみやすいですが、ある程度の量があるときには、レントゲンのほうが適しています。
胸水をレントゲンで評価するときには、胸郭と横隔膜のラインが、普通であれば下のほうに切れ込んだような形になるのが消失して、横隔膜から胸郭へのラインがなだらかな上り坂のようになるのが特徴です。
(googleで「胸水、レントゲン」で画像検索すると大量に出てきますので、参考にして下さい)
また、胸部レントゲンの正面像をみてるだけでは胸水を見逃してしまうこともありますので、横からとった像(側面像)も併せてみると、背側に胸水がたまっているのを確認することができますので、胸水の評価にはぜひとも側面像も併せて評価してみてください。
心不全では、右側に胸水がたまりやすいとのことですが、左にしかたまらないこともあります。基本的には両方にたまることが多いです。
右側に貯まりやすいことに関しては、いくつか理由が言われていますが、はっきりとはしていません。
理由の一つは、心臓が振動することなどで左側のリンパ管の水を除去する機能が、右よりも強いためと考えられています。
単独の右心機能不全では胸水がたまらないこともあるそうです(日本循環器学会、急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版))。
これに関しては、今まで考えたこともなかったので、そんなこともあるのかなという程度で、どうだったか思い出せません。
ただ、確かに左心に比べて、右心機能がかなり悪い人に関しては、終末期になれなばるほど胸水よりも腹水とか、長期のうっ血による肝硬変に困るイメージがあるのは確かです。
胸水があまり貯まりにくい機序に関しては、不明のようです。ガイドラインにあるように気管支動脈が右心房と左心房の両方に還流するというのは関係はあるのかもしれません。
が、わかりません。
経験上、胸水は心不全の治療の一番最後まで残る余分な水であることが多いです。経過としては、まず、下腿の浮腫などが改善していき、最後に少し胸水が残って、次第にそれがなくなり、余分な水が体からなくなって、いわゆる代償状態となります。
そのために、胸水のあるなしが、余分な水があるかどうかという点においての代償状態かどうかの見極めになります。
ちなみに、一番確実に胸水を診断できるのは、CTです。
どうしても、超音波でもレントゲンでもわからない胸水を、あるかどうか診断したい時には、範囲を絞ってCTをとるか、どうしても被ばくが問題になるなら、MRIをとって、はっきりさせるという手はあります。