心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

左室の駆出率の保たれた心不全について(3)

HFrEFの最大の共通点は、心臓の収縮機能が低下し、代償性に心臓が大きくなるということで、それは拡張型心筋症でも、虚血性心疾患でも変わりません。代謝性疾患や弁膜症、高心拍出が必要な状態などがなければ、収縮性が低下もしていないのに、心機能が良いま…

左室の駆出率の保たれた心不全について(2)

HFpEFの急性心不全治療の注意点 急性心不全の治療と被る部分がありますが、HFpEFの非代償性心不全の治療の注意点は、循環不全と原因疾患です。 循環不全に関しては、すべての心不全に共通していますが、LVEFがそれなりにいいと、心拍出量は問題ないという先…

左室の駆出率の保たれた心不全について(1)

左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF, Heart Failure with presereved leftventricular Ejection Fraction)は、以前は拡張不全型心不全(diastlic dysfunciton)といわれていました。拡張機能に障害が出て不全を起こして心不全を起こしており、収縮機能は問題な…

PVループ(6)

最後に心臓の仕事量に関してです。 心臓は酸素やエネルギーを消費して、血液に対して仕事をして、血液にエネルギーを与えて循環させます。 平均血圧と心拍出量をかけた値が心臓が行った仕事として評価されることがありますが、これは外的仕事といって、心臓…

PVループ(5)

PVループでは、心筋の拡張性の違いによって同じ左室拡張末期容積でも、拡張末期圧が異なることもわかります。特に拡張機能がことさら悪い拘束型心筋症ではこれが顕著になります。 正常な拡張特性と高度に障害された拘束型心筋症の拡張機能曲線をイメージする…

PVループ(4)

PVループを使うと、左室に対して後負荷や収縮性が変化したときに、前負荷を含めた3つの関係がどのように変化するのかを観察することができます。 ドブタミンやミルリノンを使用すると、心臓と血管に作用して、心臓の収縮性を増強し、血管を拡張させて後負荷…

PVループ(3)

本来PVループは、コンダクタンスカテーテルという特殊なカテーテルを用いて、左室の容積と圧を測定し、図としたものです。安静時の心室の状態をコンダクタンスカテーテルを用いて測定し、PVループを描きます。そのうえで、強心薬で収縮特性を変化させたり、…

PVループ(2)

PVループに関して、どこから注目すればいいのかというと、私は拡張期圧曲線(下図 EDPVR)だと思います。 ほとんどの状況で、この拡張期圧曲線は変化しません。変化しないものから、考えると分かりますと思います。収縮特性(ESPVR)や他の値は、強心薬の投与や…

PVループ (1)

圧容積関係(Pressure Volume Loop)は、PVループといわれ、心不全を理解するにに非常に有効な概念です。 スターリング曲線では、心機能を前負荷の代用である右房圧と心拍出量の関係を曲線であらわしました。心臓の収縮性や後負荷などの影響因子に関しては、図…

starling下降脚についての考察

スターリング曲線では、右房圧を上げれば、右房圧が低い領域ではほぼ直線上に心拍出量は変化しますが、ある程度のところでは、右房圧当たりの心拍出量が変化は徐々に鈍くなっていき、右房圧を一定以上に上げすぎると心拍出量は下がってきます。これをスター…