心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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PVループ(2)

PVループに関して、どこから注目すればいいのかというと、私は拡張期圧曲線(下図 EDPVR)だと思います。


ほとんどの状況で、この拡張期圧曲線は変化しません。変化しないものから、考えると分かりますと思います。
収縮特性(ESPVR)や他の値は、強心薬の投与や何らかの薬剤介入で変化しますが、拡張期圧曲線はそういった介入でも基本的には変化しません。
逆に変化する時には、心膜炎やなんらかの左室以外の要因ないし、肥大型心筋症などの特殊な疾患が想定されます。

この拡張期圧曲線は、数理的に求めることができますが、そこは省きます。理由は、数式を書くのが大変だからです。

ということで、PVループで、ある左室について考えるときには、まず拡張期圧曲線を固定したものだと考えます。


このEDPVRが横に寝ていればいるほど、拡張機能がいいということになります。
極端な話、これが平行であれば、本来の前負荷である左室拡張末期容積がいくら増えても、拡張末期圧が上がらないため、うっ血の症状は生じません。うっ血の症状が出やすいかどうかは、このEDPVRの傾きによります。HFpEFでは、この傾きが急峻になっており、左室の拡張=容積の増加当たりの圧の上昇が大きくなります。