PVループを使うと、左室に対して後負荷や収縮性が変化したときに、前負荷を含めた3つの関係がどのように変化するのかを観察することができます。
ドブタミンやミルリノンを使用すると、心臓と血管に作用して、心臓の収縮性を増強し、血管を拡張させて後負荷を軽減させます。これによって、前負荷が低下し、拡張末期圧が低下することが図から理解することができます。
強心薬によっても拡張機能特性は変化しないために、拡張機能曲線(EDPVR)はそのままです。
収縮特性は上がるので、傾きが大きくなります。
血管拡張のため後負荷の下がるので、後負荷の傾きは低下します。
収縮特性と後負荷の傾きが変化するので、交点が左方向(X座標が小さい方向)に動きます。つまり、収縮末期容積が低下します。
必要な1回心拍出量が増加しなければ、そのまま拡張末期容積が低下し、拡張末期圧が低下しますので、うっ血の症状も改善します。
収縮特性の大動脈弁が閉じた時の血圧に関しては、平均血圧で近似できるといわれています。
強心薬を投与しても、血圧は下がることは少なく、臨床で使用する少量であれば、あまり変わらないということが多いかと思います。
血圧が変わらず(縦軸の変化量)、1回心拍出量(横軸の変化量)が変わらないということは、後負荷を示す直線の傾きが変わらないということになり、後負荷は変わらないということになります。つまり、強心薬投与後の定常状態で、心拍出量と平均血圧の2つが変化なければ、いったん低下した後負荷も理論上は元に戻ったということになります。
強心薬の投与によって、1回心拍出量が増えていれば、傾きは小さくなるので、後負荷は低下するということになります。つまり、1回心拍出量が増えた分だけ後負荷は低下しているということになります。