心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

PVループ(6)

最後に心臓の仕事量に関してです。

心臓は酸素やエネルギーを消費して、血液に対して仕事をして、血液にエネルギーを与えて循環させます。

 

平均血圧と心拍出量をかけた値が心臓が行った仕事として評価されることがありますが、これは外的仕事といって、心臓が仕事をして血液にエネルギーを与えたということになります。実はもう一つ内的仕事といって、心臓自体も抵抗があるので、そこに対して仕事をする必要もあります。PVループで、この外的仕事と内的仕事を表現することができます。

 

まず、PVループのループ自体の面積が外的仕事に相当します。
先に述べたように、外的使途後を求めるのに、平均血圧と1回心拍出量を掛け算しているのは、PVループを長方形と近似して計算していることになります。

横軸は心拍出量なのでそのままですが、縦軸の血圧で、大動脈弁が閉まるときの血圧は平均血圧で近似できるとされていますので、長方形として面積を計算すると、おおよそPVループの断面積と近似することができます。
(収縮期の上の部分と、拡張機能曲線の下の部分を相殺させる感じになります)

 

ただ、心臓の酸素消費量から推測される仕事量は外的仕事量だけではなく、他にもあることは以前からわかっていました。これが先に述べたように内的仕事といって、心臓そのものを動かすためのエネルギーということになります。血液に与えるエネルギーだけではなく、もちろん心臓そのものが動くだけでエネルギーがいります。心臓を含めた生体自体は、かなり効率のいい機関ですが、さすがに心臓が消費するエネルギーが外的エネルギーだけではすみません。
それをどのように表現されるかというと、PVループの収縮特性の直線であるESPVRと拡張特性のEDPVRの交点と等容収縮の直線で囲まれた部分になります。これが内的仕事量といって、心臓そのものが血液にエネルギーを与える以外に消費するエネルギーとなります。

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この内と外を合わせたものが、心臓が行うすべての仕事の結果となります。

 

大きい心臓と小さい心臓では、同じだけの平均血圧で同じだけの心拍出量を出していると、外的エネルギーはほぼ同じですが、容積が大きければ大きいほど内的仕事量が大きくなっていきますので、心臓の負担が多くなるということになります。

仕事の効率で行くとPVループは、左側にあるほうが、良い効率で動けているということになります。