心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

急性心不全の治療(17):血管拡張薬、特にNO供与体(ミオコール®、ニトロール®、ニコランジル®)

血管拡張薬の具体的な使用方法を述べていきたいと思います。何度も繰り返しになりますが、血管拡張薬を、私は呼吸管理の一環と考えています。心不全だから、血管拡張薬という風に素直にいかずに、すべての治療でそうですが、目の前にある心不全に対して、ど…

急性心不全の治療(16):持続静注の血管拡張薬の使い方に対する私の考え

さて、具体的な薬剤のお話です。 ミオコールやニトロールは基本的にNO供与体といわれ、NOを平滑筋に作用させます。カルペリチドは、平滑筋の受容体に結合して作用します。どちらも、cGMPを平滑筋細胞内で増加させ、ミオシン軽鎖に脱リン酸化を起こすことで平…

急性心不全の治療(15):静脈の弛緩の生理学と腹腔内静脈が交感神経支配を受けている意義

現在、心不全で血管拡張薬として使用されている持続静注の薬剤(主にニトロ系の製剤とhANP)は、基本的に静脈系の血管拡張薬であり、前負荷を軽減させること、つまり、右室拡張末期圧、左室拡張末期圧を低下させる効果があります。拡張末期圧の低下は、拡張末…

急性心不全の治療(14):うっ血の治療は? 利尿薬・ECUM・血管拡張薬

心不全の治療で、重要な循環不全と呼吸不全に対する評価と治療を行ったら、次に重要なのはうっ血の解除です。 時間的に次に重要と記載しただけで、心不全の治療とは、循環を維持しながら、うっ血をコントロールすることですから、うっ血の治療はとても重要で…

急性心不全の治療(13):普段の心不全入院患者さんの診察について

うっ血の治療についてお話しする前に、私自身が自分の受け持ちの心不全の入院患者さんに、毎日診察していた所見についてお話します。もちろん、看護師さんがつけてくれる熱型表や記事内容、心電図モニターを確認したうえで、ベッドサイドにいって食欲はどう…

急性心不全の治療(12):陽圧換気の循環動態に与える影響

陽圧換気が循環動態にどのような影響を与えるかについてお話ししていきたいと思います。 まず、要約すると、非侵襲的陽圧換気で、持続的な陽圧(CPAP)を10cmH2Oかけると、肺の圧が上昇し、肺が心臓の拡張を阻害します。それによって、最終的には、右房圧と肺…

急性心不全の治療(11):陽圧換気療法のいろいろ

陽圧換気には、段階的にnasal high flow(NHF)、noninvasive positive airway pressue(nPAP) or nonivaseve positive airway pressure ventilation(NiPPV)、 invasive positive airway pressure(iPAP)があります。 nasal high flowは、特殊な回路を用いて、鼻…

急性心不全の治療(10):酸素投与方法のいろいろ

心不全の時の呼吸管理の方法をまとめます。 酸素は多少なりとも投与するとして、次に大きく陽圧換気がないものと、あるものにわけることができます。 まずは、一般的によく使われるカヌラ、マスクです。 酸素の投与量は、1分間に酸素の供給を何リットル行う…

急性心不全の治療(9):呼吸管理の始め方、CO2は静脈血でもいいと思う

急性心不全の呼吸管理に関しては、酸素投与は必要なことが多いと思います。 その中でも心不全の呼吸管理では、陽圧管理が必要かどうかということが重要になると思います。 非侵襲的な陽圧管理(noninvasive positive airway pressure ventilation, NiPPV)は心…

急性心不全の治療(8):PICCカテーテル挿入時に簡易的な右心カテーテル検査ができる。

何度かPICCという言葉を説明なく使いました。PICC(peripherally inserted central catheter)というのは、日本語では末梢静脈挿入型中心静脈カテーテルという風になります。 つまり、両腕の末梢静脈から細めのカテーテルを入れて、それを中心静脈かそれに近い…