心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(53:心肝連関)

心不全と肝臓は、腎臓も実はそうなんですが、どちらかが悪くなるともう一方の臓器も血行動態を介して、または、今のところ明確にはわからない非血行動態的な理由により慢性的な臓器不全をきたすことがあります。 このような関係を、2つの臓器が相互に関係し…

心不全のすべて(52 :肝胆道系酵素の変化)

心不全にとって、腎機能は非常に重要な指標であることをお話ししました。 慢性期の腎機能は、糸球体ろ過量の高低やアルブミン尿の有無で予後が変わりますし、急性期にも糸球体ろ過量が悪化するかどうかや一過性でもアルブミン尿がでるかどうかで、予後が変わ…

心不全のすべて(51:低灌流時の尿検査の有用性:低Na、低Cl、高K尿症の機序)

低灌流の時には、一番初めの変化するのは、おそらく本人の自覚症状だと思います。 例えば、食欲や吐き気、倦怠感など。ただ、これが低灌流であるという裏付けがないとなかなか低灌流の治療には進みにくいものです。裏付けがないと、本当はただの消化器症状か…

機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する急性期治療効果(2019/1/17:修正中)

今回は、少し心不全のすべてを中断して、僧帽弁閉鎖不全に関しての考察です。 (いつもは1000-2000字程度に収まるようにしていますが、今回は5000字ほどあります) 最近カテーテル治療による僧帽弁の治療が可能になりました。さらに、今後、日本でも、人工弁…

心不全のすべて(50-15:心不全に必要な腎臓の知識、集合管とトルバプタン)

尿細管の最終の部分は、集合管になります。 皮質部分の集合管には、ナトリウムの再吸収を行う最後のナトリウムチャンネルである上皮性ナトリウムチャンネルがあります。 そして、その先の集合管には、バソプレシンによって活性化し、水と尿素の再吸収を行う…

心不全のすべて(50-14:心不全に必要な腎臓の知識、遠位尿細管)

利尿薬の作用点という視点で見ていくと、尿細管には後2つの部位があります。 遠位尿細管と集合管です。 遠位尿細管には、ナトリウムとクロールイオンを吸収するNaCl共輸送体があります。これが、かの有名なサイアザイド系利尿薬の作用点です。 遠位尿細管の…

心不全のすべて(50-13:心不全に必要な腎臓の知識、尿細管とループ利尿薬)

腎臓の尿細管のうち、近位尿細管では、SGLT2(±SGLT1)を阻害することで糖とナトリウムの再吸収を抑制し、結果的に浸透圧利尿が得られます。 また、特に心不全の状態ではアンギオテンシンIIが近位尿細管でナトリウムの再吸収を亢進させているために、これをARB…

心不全のすべて(50-12:心不全に必要な腎臓の知識、尿細管とSGLT2)

尿細管のナトリウムとクロール、カリウムの再吸収に関してのお話を始めていきます。必然的に利尿薬についてもお話しすることになります。 ナトリウムとクロールは水の再吸収に非常に強く関係していますし、特に遠位尿細管を通過するクロールの濃度は、レニン…

心不全のすべて(50-11:心不全に必要な腎臓の知識、尿細管3)

糸球体からろ過をされた原尿は、まずは尿細管の中でも近い部分の近位尿細管という部分でほぼすべての糖や尿酸の一部など重要な分子をさまざまな機構をつかって、尿細管から尿細管上皮細胞内に引き込みます。そして、尿細管上皮の逆側にある血管内にそれらを…

心不全のすべて(50-11:心不全に必要な腎臓の知識、尿細管2)

原尿が最終尿(普通に排出される尿)になるまでの間に、全身の状態に応じてさまざまに加工されます。 特に心不全で必要な尿細管にかかわる知識は、水、電解質(Na,Cl,K)、尿酸(UA)、尿素窒素(UN)です。 特に水と電解質に関しては、心不全の治療の薬剤である利尿…