心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(50-11:心不全に必要な腎臓の知識、尿細管2)

原尿が最終尿(普通に排出される尿)になるまでの間に、全身の状態に応じてさまざまに加工されます。

 
特に心不全で必要な尿細管にかかわる知識は、水、電解質(Na,Cl,K)、尿酸(UA)、尿素窒素(UN)です。
特に水と電解質に関しては、心不全の治療の薬剤である利尿薬の作用にもかかわってきます。
 
まずは解剖です。
 
腎臓は、そら豆の形をしています。
中心には尿細管が集合した、まさにその名も集合管がさらに集まった腎盂があり、最終尿が腎盂から尿管をへて膀胱へと旅立っていきます。
腎盂の周りには髄質があり、そのさらに周りに皮質があります。
皮質の内側で、髄質に近い部分は傍髄質といわれる部分になります。
 
つまり、内側から腎盂→髄質→傍髄質→皮質となっています。
糸球体は、傍髄質と皮質にあります。そして、傍髄質の糸球体と皮質の糸球体には違いがあります。これが心不全低潅流の尿所見の変化の原因となりますが、それはまた別の話しです。
 
解剖的なイメージで、腎臓を北半球だけ(別に南半球でもいいですが)の半分に割った地球に例えると、
糸球体が地球の表面の地上(皮質)から海底(傍髄質)あたりの高さにあって、そこから延びる尿細管がずとぉーんと地球の中心に向かいます。
 
さらに細かいことを言うと、尿細管は一度マントルを突き破って、地球の中心付近まで行った後に、ヘアピンカーブして、ぐぅーと再度地球の表面まで戻ってきます。
そして、再度地球の表面から一気に地球の真ん中にある腎盂までずどんと行きます。
 
整理します。
 
地球の表面付近の、地上が皮質で、海底が傍髄質です。そのあたりに糸球体が散在しています。
それぞれの糸球体の外のボーマン嚢から続く尿細管は、地球の中心に向かいます。
 
ボーマン嚢から出た直ぐの尿細管が近位尿細管です。比較的地表当たりをうろうろします。
そして、中心に向かって、ドーンと行く部分がヘンレの下行脚といわれ、まっすぐに細くなっています。
次に、地球の中心付近でヘアピンしていますが、その部分がヘンレのループです。
さらに、表面に上がっていく部分がヘンレの上行脚です。ヘンレの上行脚は、まず細い部分があり、途中から太くなります。ここに有名なラシックスの作用点であるNaKCl2チャネルがあります。
そして、最後に地表近くになると遠位尿細管となって、以後は集合管といわれる部分となり、徐々に集まって、再度腎盂に向かって尿を運んでいきます。
これが、尿細管の全容です。
再度言いますが、傍髄質の糸球体にはこの機構がきっちりと整っていますが、皮質の糸球体は、尿細管の発達は不十分です。
 
だいたい、このあたりで、Googleで [腎臓 尿細管]といれて画像検索していただければ、適当な絵がたくさんあると思いますので、イメージを膨らませてください。
 
 
ちなみに血管は、海の底に弓状動脈という腎動脈から分岐した動脈がパイプラインのように横たわっていて、そこから、上に向かって動脈を分岐しています。その動脈は、たぶん多くは輸入細動脈となり、さらに糸球体そのものとなります。他の一部の動脈は糸球体の構成細胞や周囲の細胞を栄養します。
糸球体となった動脈は輸出細動脈となります。糸球体という毛細血管となった後でも、ろ過されただけで、赤血球にまだまだ酸素は健在で動脈血のままです。
その後、尿細管に沿って、一緒に地球の中心へ向かって、つまり髄質を潅流して、髄質にある尿細管を形成する移行上皮細胞やその周囲の細胞を栄養して、静脈血として、再度上向きに上がっていて弓状静脈となり、腎静脈となります。
 
弓状動脈から上に上がって、糸球体とならず、皮質や傍髄質の糸球体の構成要素を含むさまざまな細胞を栄養したものは、そのまま静脈血として、弓状静脈となり、腎静脈となります。