心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(40:収縮性心外膜炎)

心外膜炎は、様々な理由によって起こります。 心外膜が炎症を起こすと、心嚢液が貯留します。急性であれば、心膜の炎症により胸痛が生じたり、心不全による呼吸困難などを訴えます。 今回は、ウイルスや自己免疫性疾患などで慢性的に経過した心外膜炎につい…

心不全のすべて (39:薬による心不全)

別項目でお話ししたように癌自体と心不全が、何らかの関連を持っていて心不全患者自体に発癌率の上昇がみられるようです。 www.kenkohlive.com ただ、以前の心不全と癌というとほぼ抗癌剤による心筋への障害ないし機能低下ということがテーマだったように思…

心不全のすべて(38:ウイルス感染による慢性心筋炎)

今回は、ウイルス感染による慢性心筋炎を中心に述べていきたいと思います。 ウイルスによる慢性心筋炎は、疾患概念として存在するかどうかが確定していない概念です。 正確に言えば、ウイルスが心筋組織に持続的に感染し、それによって心筋に障害が起こり続…

心不全のすべて (37:HIV感染による心不全)

今回は、ウイルス性の心筋炎の中でもHIV (Human Immunodeficiency Virus, ヒト免疫不全ウイルス)による心筋炎をみていきたいと思います。 世界的には、日本と違って、アルコールや非合法麻薬の乱用による心筋症・心不全、また、中南米などではシャーガス病と…

心不全のすべて(36:自己免疫性疾患とホルモン異常)

自己免疫性疾患や内分泌異常に伴う心不全は、ファブリー病やサルコイドーシスなどと違って、心臓だけに起こるタイプはあまりないように思います。 そのため、他の全身の症状をしっかりと検査して、自己抗体といわれる、自分の組織に対する抗体があるかどうか…

心不全のすべて(35:ミトコンドリア病)

ごくまれにみられるミトコンドリア病も、心不全をきっかけに診断されることがあります。 現時点では根本的な治療方法は見つかっていませんが、補酵素のビタミンや、コエンザイムQ10の投与が行われることがあります。 ミトコンドリア病は、ミトコンドリアに異…

心不全のすべて(34:心ファブリー病)

Fabry(ファブリー)病は、稀ではありますが、肥大心の数%程度の割合でみられる可能性もあるといわれています。 以前は、非常にまれと考えられていましたが、現在は一定数みられ、また、酵素補充療法という治療があるため、必ず鑑別に入れなければいけません。…

心不全のすべて(33:心アミロイド―シス)

心不全となる原因として、アミロイドーシスは比較的有名です。 アミロイドーシスは、本来心臓にないアミロイドという線維性のたんぱくが心臓の間質に沈着することから始まります。アミロイド自体は31種類あるようです。 サルコイドーシスと違うところは、心…

心不全のすべて(32:サルコイドーシス)

心不全の原因で、治療可能なもののうち、心臓に限局して起こる可能性のある疾患や心臓の異常が初発で診断がつく疾患がいくつかあります。 今回は、その中からサルコイドーシスを取り上げます。 サルコイドーシスは、厚生労働省の難病に指定されいる比較的珍…

心不全のすべて(31:心不全の原因、治療可能なものと予防可能なもの)

慢性的に経過する心不全の原因を、根本的に治療可能かどうか、または予防可能かどうか、によって分けていきたいと思います。 こういう分類は、特に実際に患者さんを前にする実臨床では非常に重要です。 その患者さんの心不全の原因についてどこまで検査する…