心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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急性心不全の治療(3):尿中クロール濃度は循環不全のマーカーである

低潅流による循環不全のゴールドスタンダードはなんでしょうか。
私の答えは、尿中クロールです。
10割本気です。
 
一時期、心筋マニア、心不全オタク、ただの通りすがりの心不全屋などなど、いろいろといわれながら、たどり着いたラフテル、それが心不全の循環不全を評価するスタンダードは尿中クロールだということでした。
 
以前にも少し述べていますが、心不全の時にどのように尿中生化学をみていけばいいかをお話ししたいと思います。
 
まず、尿生化学検査は、蓄尿してはいけません。かならず、スポット尿といって、1回分の尿で検査するか、バルーンで尿を管理しているときには、10ml程度を検査用にとってそれを検査に出します。
検査をするタイミングとしては、入院時と入院2日目の朝です。
入院時の測定は、入院後に初めての尿か、バルーンを入れた場合には、バルーンに流れてきた初めの10mlを検査に出して測定します。
次に、入院翌朝食事前、内服前の排尿時のものがいいのですが、それが困難であれば、起床後の一番初めのものを検査に出します。バルーンの場合には、大腿私は、6時に0-6時までの尿量を測定してもらって、その尿は廃棄して、6時から30分くらいでた待った尿を検査に出してもらっていました。
初めは、なかなか理解してもらえませんが、何回もお願いすると、看護師さんからはおしっこの先生といわれながらも、協力してくれるようになります。
(その後、大学の院生の研究の関係で、循環器疾患と便の細菌の関係を調べる病棟側の担当をすることになり、とうとう便にまで手を出したのかと、看護師さんにいじられたのも思い出です)
 
さて、測定する項目は、最低限は、尿中クロール、カリウムで、通常はナトリウムも加えた3項目です。可能なら、クレアチニン、尿素窒素。さらに、可能なら尿酸の合計6項目を測定します。
入院2日目以降は、同じように尿中クロールと、カリウムに、ナトリウムの3項目は測定したいところですが、さまざまなしがらみの中で決めていただければよいかと思います。
 
さて、解釈ですが、尿中クロール濃度をまずみます。
30mEq/L以下だとほぼ循環不全確定です。
 (以前、入院2日目の尿で尿中クロール35mEq/L以下は、ほぼ強心薬かそれに準ずる機械をつけているという臨床報告をしましたが、なかなか受け入れてもらえず、挫折した過去があります)
30-40mEq/Lなら、循環不全の可能性が結構あります。
40-60mEq/Lなら、おそらく循環不全はありません、たぶん大丈夫です。
そして、60mEq/L以上であれば、循環不全ではありません。大丈夫です。
 
これだけみるのでも大丈夫ですが、さらにカリウム濃度を合わせてみると、ざっくりいうとクロール濃度よりも高ければ循環不全です。
 
また、ナトリウム濃度は、だいたいクロール濃度と相関して動きますので、クロールと同じように考えていただければ結構です。
 
まずこれだけを把握していただければ十分ですが、次回、時間経過でどう見るかをお話しします。
 
ちなみにどうしてこのような変化となるかについては、ちょうど100日前に記載しています。