心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

PVループ(5)

PVループでは、心筋の拡張性の違いによって同じ左室拡張末期容積でも、拡張末期圧が異なることもわかります。特に拡張機能がことさら悪い拘束型心筋症ではこれが顕著になります。 正常な拡張特性と高度に障害された拘束型心筋症の拡張機能曲線をイメージする…

PVループ(4)

PVループを使うと、左室に対して後負荷や収縮性が変化したときに、前負荷を含めた3つの関係がどのように変化するのかを観察することができます。 ドブタミンやミルリノンを使用すると、心臓と血管に作用して、心臓の収縮性を増強し、血管を拡張させて後負荷…

PVループ(3)

本来PVループは、コンダクタンスカテーテルという特殊なカテーテルを用いて、左室の容積と圧を測定し、図としたものです。安静時の心室の状態をコンダクタンスカテーテルを用いて測定し、PVループを描きます。そのうえで、強心薬で収縮特性を変化させたり、…

PVループ(2)

PVループに関して、どこから注目すればいいのかというと、私は拡張期圧曲線(下図 EDPVR)だと思います。 ほとんどの状況で、この拡張期圧曲線は変化しません。変化しないものから、考えると分かりますと思います。収縮特性(ESPVR)や他の値は、強心薬の投与や…

PVループ (1)

圧容積関係(Pressure Volume Loop)は、PVループといわれ、心不全を理解するにに非常に有効な概念です。 スターリング曲線では、心機能を前負荷の代用である右房圧と心拍出量の関係を曲線であらわしました。心臓の収縮性や後負荷などの影響因子に関しては、図…

starling下降脚についての考察

スターリング曲線では、右房圧を上げれば、右房圧が低い領域ではほぼ直線上に心拍出量は変化しますが、ある程度のところでは、右房圧当たりの心拍出量が変化は徐々に鈍くなっていき、右房圧を一定以上に上げすぎると心拍出量は下がってきます。これをスター…

拡張ガイトンモデルは、心拍出量と心房圧の関係で評価する右心機能、左心機能の相対的な評価の理論的な背景になる。

ガイトンモデルをさらに発展させた拡張ガイトンモデルという3次元の概念があります。 ガイトンモデルでは、心臓と肺循環をまとめて一つの装置として考え、同じ値になる静脈還流と心拍出量、それぞれに対する右房圧の関係を示し、2本の線からなる2次元の図と…

静脈還流と心拍出量は等しいので、右房圧と心拍出量が決まれば、末梢の静脈圧もある程度は決まる

フランクおよびスターリング先生の研究結果から、心筋を伸ばせば発生する圧が大きくなり、より多くの心拍出量を出せることがわかりました。これは、心臓からでていく心拍出量に注目した研究といえます。 ガイトン(Arthur Clifton Guyton)先生は、心臓に返っ…

生体内での心拍出量と右房圧が決まる経緯

スターリング曲線は、肺循環を含めた全体の心臓としての前負荷を反映する右房圧と心拍出量を2次元で分かりやすく表現した概念であると思います。 ここで、心拍出量と右房圧が、生体でどのように決定されるかを見ていきたいと思います。 心拍出量は、血液の組…

スターリング曲線を使うと、心不全の右房圧と心拍出量の関係が理解しやすくなる

フランク・スターリングの法則は、原理原則としては重要です。ただ、実際に見かけるのはほとんどがスターリング曲線です。スターリング曲線のほうが、実際の臨床でみる心不全の理解には役に立つと思います。それは、スターリング曲線が、前負荷と心拍出量の…