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心不全について私が知るすべてを話すブログ

心臓移植登録の流れ(1)

心臓移植に関することで、特に一般の病院でも関わる可能性のある心臓移植の必要性を感じてから実際に移植登録までの流れについてお話ししたいと思います。


心臓移植の一番初めのスタート地点は、主治医が重症の心不全で、通常の治療では、NYHA IIIないしIVの状態から改善させるのは困難であると判断するところから始まります。
判断したら、まずは施設として、その時点で十分な治療が行われているか、特に治療可能な原因による心不全かどうかの鑑別が、行われているかなどについて相談します。
そのうえで、十分な原因検索は行われていて、必要な治療も行われていると判断されたなら、その段階で本人・家族に話をして、移植実施施設に連絡することになります。
時折、この連絡する前の段階で、心臓移植の話をして患者が断ったということで、終末期の緩和医療をしたとの報告を聞くことがありますが、これはやめた方がいいと思います。過去に移植医療に関わっていたとしても、治療はどんどん進んでいます。その段階で、移植医療にかかわっていない人が、最終の決定の判断を聞くのではなく、できる限り移植実施施設の医師と話すように導いてほしいと思います。


また、サルコイドーシスの鑑別や心筋生検などは通常の施設では、なかなかこれらの診断をスムーズに行うのは難しいと思いますので、慢性心不全の原因精査目的で移植実施施設にコンサルトを行うのも、全然いいと思います。移植実施施設は、このような鑑別に慣れているので、すぐに相談に乗ってくれると思います。

各地域に移植実施施設はあるので、施設に連絡すれば対応してくれると思います。連絡は、ホームページなどで連絡先を確認していただいて、直接施設に電話して、心臓移植の件でといえば、担当に回してくれると思います。急がない時には研究会などで声をかけていただくこともありましたし、何でもいいと思います。どの方法は失礼とか、そんなことは思う人は私の知る限りいませんので、とにかく、患者さんファーストで、必要だと思った時には連絡していただければいいと思います。


連絡後は、個人情報が許す範囲で、電話やメールなどでの病状確認となります。
この段階で、私のいた施設では、移植実施施設の心不全の治療責任者などが、それまでの診断や治療の流れなどを判断して、今後の流れが決まっていきます。
心臓移植が必要だとか、または転院の上でもう少し検査や治療が必要とか、そのまま転院せずに治療を続けてもらえそうとか判断します。

連絡をいただいて、その状況を把握したうえで、移植実施施設の医師・看護師らが依頼元の病院に往診という形で、主治医や患者さん・患者家族と直接話をしに行きます、日本中のどこでも行くと思います。
往診料は、本基本的には無料で、交通費の実費だけの請求になります。

 

この一連の時間の流れの速さは、患者さんの緊急度によります。
重症ではあるものの、何とか外来通院できているとかであれば、1か月単位とか、強心薬をつないで安定していたりすると、1週間程度の流れで進んでいきますし、急性の劇症型心筋症では、移植はさておき、病状が非常に重症ですので、その日のうちに転院までの流れを決める必要があるので、時間単位でいろんなことが進んでいきます。また、転院なしで、心臓移植登録を進めることもあり、心臓移植登録を経験している医師のいる施設などでは、移植実施施設と連絡を取りながら、必要な検査などを進めてもらいながら移植登録までしてもらうこともあります。

 

また、心臓移植を行っている施設は、必然的に重症心不全や、稀な心疾患をみる専門施設でもあります。そのため、心移植に関係のない重症の心疾患や、心筋炎などの急性重症疾患なども対応してくれるはずです。
(私が若いころに、日曜日の夕方に、偶然私が依頼施設の近くにいたため、それを知っている責任者から緊急往診の指示があり、そのまま往診をし、翌日転院となったこともあります。傍から見るとブラック企業みたいですが、心臓移植に関わるということはそういうことだと思います)

 

ちなみに、転院のための移動は常に患者さんにとってかなりの負担になります。院内移動、例えば重症患者さんをCT検査にいって、戻ってくるだけでも不安定化することがあります。そのため、重症度、病態の不安定性によって転院の移動の方法は変わってきます。
一般的な移動方法は救急車ですが、車での移動はかなり負担になりますので、長距離の救急車移動はできるだけ避けるほうがいいと思います。
東京-大阪間の転院の時に、重症だけれども、治療が点滴だけだったので、一番身体的な負担が少ない新幹線を使って、主治医付き添いで、転院してもらったことがあります。他には、自衛隊のジェットヘリを飛ばしてもらったりとか、患者さんのその時の治療の状態などを判断し、とりうるすべての移動手段の中から最も身体的な負担のない方法を選択します。
転院の時期や方法を誤ると、移動という負担によって心不全が増悪し、治療できなくなるほど悪化することもあります。転院が早ければいいわけでもなく、それまでの治療の経過をしっかりと評価して決めることが重要です。