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僧帽弁閉鎖不全症に、心臓カテーテル検査は時に必要

いままで、心臓カテーテル検査については、まったくお話ししていません。
全般的なカテーテル検査の概要は別項目でお話しするとして、僧帽弁閉鎖不全症に対して心臓カテーテル検査は必要かどうかと僧帽弁閉鎖不全の時のカテーテル検査についてお話しします。
基本的に、僧帽弁閉鎖不全の時に心臓カテーテル検査は、心エコーできっちりと評価できるものに関しては、不要だと思います。
術前であっても、冠動脈CTで冠動脈と心臓の動きを評価することができますので、よほど冠動脈に石灰化が強く評価できない部分があるとき以外は、絶対に必要というわけではありません。
各施設の心臓外科の先生とご相談で決めていくということになります。
 
心エコーで、評価が分かれる、決めきれない。というときには、左室造影は有効です。
例えば、心エコーで心房の壁に沿って吹いていてカラーで評価できない、他の弁膜症があり連続の式が適応できない、複数の吸い込み口があるためPISAが評価し切れないなどといったことが少しずつ合わさっているような場合には、腎機能と相談して左室造影をしてください。
左室造影には、30ml程度の造影剤は必要です。ここで、5mlとか10mlを節約しようとすると、中途半端な造影で結局十分な評価ができなかったということになりかねないため、しっかりと造影剤は使ってください。目安としては、8-10ml/sの速度で、30-35ml程度(2.5-3秒程度)がいいかと思います。
(もちろん、造影剤を常に節約しようとすることは重要です。そのために、造影後のカテーテル内の造影剤は吸い出すとか検査に不要な造影剤は積極的に減らしてください。しかし、左室造影をすると決まった時には、相応の事情があるはずで、手術かどうかの決定をするような状況だと思います。ここは5,10mlを減らすよりも、少し多くなってしまってもしっかり評価できる結果を残すことが重要です。)
 
また、左室の拡張末期圧が高値の時(20mmHg程度の時)には、注意が必要です。造影剤により血液の粘性が上がるため、逆流により肺動脈札入圧が一過性に上がり、肺水腫を起こす可能性もあります(粘性が上がると拡張末期圧が上がります)。このような時には、ニトロールなどの血管拡張薬を使ってみて、15mmHg程度に低下することを確認してから、行いましょう。たぶん18mmHg以下なら大丈夫な気がします。
 
左室造影の分類には、Sellers分類という分類があります。左室に造影剤を投与して、その造影剤がどれだけ逆流して左房が造影されるかを検討します。I度からIV度にわけられ、IV度が最重症です。
基本的には、いわゆる第一斜位、第二斜位を同時に取ります。ただ、心室と心房の関係で、特に第二斜位で心房が心室に重なって見えにくい時があります。このようなことが予想される時には、5ml程度の造影剤を打ってみて、しっかりつ心房が分離される位置にしてください。特に、第二斜位より深めにして、少し頭側に振ると分離されることがあります。
左室に造影剤を使って、左房が左室と同じくらい(Sellers III)か左室より濃く造影される(Sellers IV)とエコーでいうと重症になりますので、手術検討となります。
また、エコーと合わせると、左房が少し造影されるがすぐ消える(Sellers I)は軽度、左房全体が造影されるが左室よりは薄くしか造影されない(Sellers II)の場合には、中等度程度となります。
 
また、右心カテーテル検査も併せて行うこともあります。v波など語ると長くなりますので、別項目でまとめますが、v波は、心房の硬さ(stiffness)と心房の逆流による容積変化により決まります。すごく逆流があっても心房が柔らかければ、全然目立ちませんし、少しでも心房がかなり硬ければ目立ちます。さらに、v波は基本的にあまり平均左房圧を上げません。時間積分するとそれほどの値にはならないことがほとんどです(時間が短いので最高店のわりには面積は狭い)。
 
以上、少し長くなりましたが、僧帽弁閉鎖不全でエコーで評価が難しい時には、しっかりと正しい造影をして、評価を試みてください。