心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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γ計算

①γ計算に必要な値:シリンジ内の薬剤の総量(mg)、シリンジの溶液の量(ml)、患者の体重(kg)

 求める値:シリンジポンプを 1ml/Hに設定した時に、何γとなるか。(γ=μg/kg/min)

計算:

何γ= シリンジ内の薬剤の総量(mg)×1000÷シリンジの溶液の量(ml)÷体重(kg)÷60

 

②最終的な設定値:

 目標とするγ数(=目標γ)、設定すべきシリンジポンプの量(設定ml/H)

 設定ml/H = 目標γ ÷ 上で求めた何γ  (本当の単位はγ*H/ml)

 

例1:ノルアドレナリン

 ノルアドレナリン(1mg)5A + 生理食塩水 45ml,

    ノルアドレナリン総量 5mg, 全体 50ml, 患者体重 40kg

 5mg×1000÷50ml÷40kg÷60 = 0.042γ

 1ml/Hで投与すると0.042γ, 0.1γから開始すると

 0.1÷0.042 = 2.5ml/H

 で投与すればよい。

(カルテには、1ml/Hで0.042γになることと、2.5ml/Hで0.1γ投与することを記載すると他の人にも理解しやすかったり、その後の増減の時にわかりやすくなります)

 

例2: 0.3% ドブポン(50ml,→50ml×0.3% = 0.15g = 150mg)

 0.3%ドブポン50ml

 薬剤総量 150mg, 全体 50ml, 患者体重  70kg

 150mg×1000÷50ml÷70kg÷60 = 0.714γ

 3γから開始したいなら

  3γ÷0.714γ = 4.2ml/H

で投与開始して、1γ刻みでぞうりょするなら、1.4ml/Hずつ増量すればよい。

 

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説明:

私、今、療養を中心にしたいわゆる老人病院にいるのですが、いろいろあって、ノルアドレナリンを持注で投与することになり、久しぶりにγ計算をしましたので、γ計算の仕方を自分の備忘録も兼ねて記載しておきたいと思います。

γの単位は、μg/kg/minです。で、実際のシリンジポンプの設定は、ml/Hです。この違いのため、計算が必要です。

私の場合には、シリンジポンプの濃度から、1ml/Hに設定した時に、何γになるかを計算して、目標とするγ数になるように、シリンジポンプのml/Hを設定するという感じで調整しています。携帯電話の計算機で計算しています。

計算に必要な値:シリンジ内の薬剤の総量(mg)、シリンジの液体の量(ml)、患者の体重(kg)

最終的に1ml/Hあたりの薬剤の投与量(=mg/ml/H)をγ(=μg/kg/min)に変更していくことになります。

ノルアドレナリンを使用しましたので、それで計算していきます。

ノルアドレナリン1A (1mg/ml)を5A使用して、生理食塩水 45mlで薄め、体重40kgのおばあちゃんに使用しました。

つまり、ノルアドレナリン 5mg, 総液量 50ml, 患者体重 40kg。

ひとまず、1時間当たりの投与量1mlの時の投与量:5mg/50ml/H =0. 1mg/ml/H

γが体重あたり、1分当たりの㎍の投与量になるので、

1mg = 1000㎍, 1時間 = 60分, 体重 40kgで割り込んでいきます。

0.1mg/ml/H = 0.1×1000μg/ml/60min/40kg = 1000/60/40 μg/min/kg/ml ≒ 0.042γ/ml

ということで、1ml/Hの設定師にしたときに、0.042γになります。

シリンジポンプは経験上、当初開始時には、 2ml/H程度以上にはしたいので、2.5ml/Hにすると約0.1γ程度になり、2.5ml/Hで開始、血圧をみながら、1ml/Hずつ増量することとしました。

 

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