- 基本的には、薬剤の選択よりも目標血圧に達することが重要。
- 腎機能とカリウム値を確認した上で、薬剤を選択している。
- 合剤が豊富であるため、アムロジピンとテルミサルタンを中心に処方することが多い。
ALLHAT試験やBPLTTCなど、薬剤間のイベント差異や降圧効果を調査した研究は多くありますが、基本的には薬剤の違いよりも、血圧をしっかりと下げること自体が重要と考えています。
以前は、プロモーションの影響もあって、ミカルディス(テルミサルタン)に対して否定的な印象を持っていました。具体的には、販促でPPARγに焦点を当てていましたが、臨床的にはミカルディスによるPPARγの副次的な効果は示されていませんでした。MRからも、ミカルディスは部分的なPPARγ作用であるが、どの部分に効いて、どこに効かないかがはっきりしないと言われたこともあります。また、ピオグリタゾンのようなPPARγ作動薬に見られる浮腫などの副作用がミカルディスでは現れないことから、その効果は期待できないと思っていました。
ただ、ミカルディス自体の降圧効果は24時間持続し、当時発売されていた他のARB(アジルサルタン以外)よりも優れていたため、薬剤としての効果自体は悪くないと感じていました。
最近では、合剤が充実しており、3剤合剤でも1錠で服用できる点は、臨床的に使用しやすいと感じています。
現在は以下のような処方で調整しています:
- アムロジピン5mg
→ ミカムロAP(アムロジピン5mg/テルミサルタン40mg)
→ ミカムロBP(アムロジピン5mg/テルミサルタン80mg)
→ ミカトリオ(アムロジピン5mg/テルミサルタン80mg/ヒドロクロロチアジド12.5mg)
これにスピロノラクトン/エプレレノンの追加することもあります。
この処方例に関しては、心不全や腎不全の場合は少しいろいろとややこしくなるので、それらがない患者ということにはなります。
副作用以外で注意すべき点は、主に腎機能の変化とカリウム値です。
2次性の検査は、全例に実施しているわけではありません。腹部聴診と甲状腺機能検査は初診時に全例で行いますが、若年性や2剤以上使用しても160/90を超える場合、3剤でも目標値に達しない場合など、一定の基準に基づいて本格的な2次性の検査を行います。腎アブレーションについても、3剤で目標に達しない場合には、紹介を検討します。