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左室の駆出率の保たれた心不全について(5)

若年者の肥大心を認めた場合には、精査は必要です。どのレベルまでの検査を行うかに関しては悩ましい時が多々あると思います。
心不全症状があったり、急性心不全で入院した場合には、心エコーはもちろん、除外診断を行うための血液検査・尿検査、冠動脈疾患や全体的な心機能評価を行うための冠動脈CT、心筋の線維化や心筋への何かの蓄積などをみるための心臓MRI(Mapping ± 遅延造影)などを行なった上で心筋生検を行うのが望ましいと思います。
 
心不全症状もない、局所的な心筋の肥厚で、どうみても肥大型心筋症であると考えられる時には、もちろん、心エコーだけで一定期間のフォローアップで大丈夫だと思います。
ただ、全周性の心筋肥厚は絶対におかしいので、精査が望ましいと思います。
 
拘束型心筋症や肥大型心筋症以外の、何らかの原因を有する疾患として考えられるのは、以下の疾患になると思います。
 
 
心筋炎
周産期心筋症
薬剤性心筋症 
高血圧性心疾患
ファブリー病
ミトコンドリア心筋症
心アミロイドーシス
 
ミトコンドリア心筋症は、併存する確率が高い、耐糖能異常や難聴などの症状が疑うきっかけになります。
心筋炎は、肥大というか浮腫が起こるのは急性期だけですので、まずわかるだろうと思います。
周産期心筋症というのは、かなり幅の広い疾患概念で、原因などは問わずとにかく周産期に初めて認められた心筋症ということになりますので、詳細はさておき、周産期かどうかで診断がつくと思います。
 
また、心アミロイドーシスは、最近ではMRIのmappingというMRIの絶対値を評価するようなものを、T1で評価するとかなり診断できるとされていますし、腎機能が許せば、ガドリニウム遅延造影を行うと心内膜側がきれいに造影されます。
また、血液検査で、SAAを測定は一応してもいいですが、トランスサイレチンやALアミロイドーシスのほうが多いと思います。
トランスサイレチンの場合には、最近治療が随分と進んだので、見逃してはいけませんし、ALアミロイドーシスは予後が悪いというか、原疾患が治療できなければかなり厳しいので、これは本当に数日単位での診断が必要になります。
 
ファブリーに関しては、男性であれば血液検査で酵素を測定するかですが、心ファブリーの場合には心筋生検をしないと診断が困難なことがあるようです。
 
高血圧性心筋症に関しては、診断が困難です。高齢者であればあるほど、全身疾患に伴う心筋症の可能性は、低くなりますので、高血圧による心筋症の可能性が高くなります。しかし、あくまで除外診断で、何かがあれば高血圧による心筋症ということは言えません。また、治療的診断も困難で、高血圧を治療したからといって心筋が正常がするわけでもないので、治療も診断も難しいというのが実情だと思います。
 
というわけで、若年者の診断などに必要な検査としては、
病歴、他の疾患の併存状態はもちろん、各種疾患の診断に必要な血液検査、心臓CT、MRI(Mappingとガドリニウム遅延造影)まではルーチィンで行って、心筋生検もできるだけ行っていくほうがいいと思います。
個人的には、いわゆる拡張型心筋症型の不全心は心筋生検でほぼ診断はできませんが、肥大心の場合には、生検自体も比較的安全に行えますし、診断につながることも多いと考えています。