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心不全に対する慢性期治療(1)

心不全の慢性期治療に関しては、ある程度共通の治療と、何らかの原因があれば、その原因に対しての特異的な治療があります。
特異的な治療に関しては、原因毎にありますので、ここではある程度共通する一般的な慢性期治療の話をしていこうかと思います。

 

特定の原因がないいわゆる特発性といわれる心不全に関しては、大きく心エコーの左室駆出率によって3つに分かれます。(特定の原因がある場合にもこの分類で分けられることはあります)
その中で、ほとんどの有効性が示されている治療は左室駆出率が低下した心不全(HFrEF, Heart failure with reduced ejection fraction)に対するものです。現在、左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF, Heart failure with presereved ejection fraction)やその間の境界領域といえるHFmrEF(Heart failure with mid-range(borderline) ejection fraction)に関しては、有用性を示すものはごく少数という状況です。そのうえで注意が必要なのは、HFrEFで有効なものが、他のものでは無効であったり、血行動態的には有害な可能性もあるという点です。


非常に多様な心不全、心筋症の原因を無視して(わからないので仕方ないですが)、LVEFというものだけで分けてしまうのは多少乱暴な面があるのは仕方ありませんが、何かで分類していくというのは現在の医療の状況では妥当だと思います。

今の心不全の大きな考え方は、100人治療したら、その治療により良い効果を受ける人がより多いという視点で行われており、残念ながら治療をしたすべての人に対して有用ということではありません。そのため、薬を飲んでいても、空振りになっている人が一定数いて、多くの場合空振りの人のほうが多いというのが現状です。

そのうち、ある心不全の人の、すべての因子を解析して、その人に有効な治療を選択して治療を行っていくということが行われていくと思います。場合によっては、予後が悪くなると投与されないような薬剤も、ある特定の人にとっては有益かもしれませんが、今はまだその段階ではありませんので、心不全という大きな枠組みの中で、LVEFでわけたり、右心機能で分けたり、腎機能で分けたりしながら、全体であったり、その分けたグループの中での薬剤の有効性を評価し、すべての人に有効ではないということを理解しながら薬剤を投与し、Deviceを使っていくことになります。

 

慢性期心不全の治療はガイドラインにしっかりと示されていますので、そちらから引用していきます。また、日本のガイドラインは、日本人に行われた臨床研究が少ないため、ほとんどを海外の臨床研究をベースにしています。

アメリカとヨーロッパの二つの学会からのガイドラインが主要なガイドラインとなりますが、参考にしている研究論文は、論文自体がオープンになっていますので、当然共通しています。その中で、それぞれの学会の考え方などに沿って、ガイドラインは定められていきます。
ヨーロッパとアメリカの学会、ガイドラインの大きな違いは、ヨーロッパは様々な医療事情の違う国の集合の学会で、それぞれの国で使われることが意識されます。イギリスやフランス・ドイツの委員がヨーロッパの中でも比較的医療が遅れている国の状況をどれだけ鑑みているかはわかりませんが、やはり、一様な医療制度の中にあるアメリカや日本の学会とは、そのあたりが異なるのかなと思います。
また、循環器に関しては、ヨーロッパは実際の臨床よりの提言が多く、アメリカは基礎医学によっているような印象はあります。