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僧帽弁閉鎖不全症の重症度は逆流量 50%が基準

僧帽弁閉鎖不全症の血行動態に影響を与える主な因子は、逆流する分余分に拡張した拡張末期容積による拡張末期圧の上昇です。左房に関しては、機能低下が起こると一層の複合的な結果として平均左房圧が上昇すると想定されます。
 
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例えば、本来であれば、
拡張末期容積 140ml、収縮末期容積 80ml、心拍出量60ml(左室駆出率 43%)の人で、
僧帽弁閉鎖不全症が50%あるとすると、
拡張末期容積 200ml、収縮末期容積 80ml、心拍出量 60ml、逆流量 60ml (左室駆出率 60%)になります。
この、拡張末期容積が 140ml→200mlになることで上昇する拡張末期圧が僧帽弁閉鎖不全症の心不全を起こす本態です。
この時に、拡張末期圧が、どの程度上がるかによって心不全の症状が出るかどうかが決まります。つまり、拡張機能が重要な因子となります。##
 
 
このような機序から、左房の機能に問題なく、左室の拡張機能がよく、(もちろん急性でなければ)僧帽弁閉鎖不全が起きても、心不全による症状は起きないことになります。
 
以前機能性僧帽弁閉鎖不全で少しお話ししましたが、基本的に収縮期の僧帽弁の開き具合は、超重症の大動脈弁狭窄症程度か、それ以下なので、かなり高い後負荷になっています。そのため、いくら左房が低圧といっても、僧帽弁逆流自体は高い後負荷に対して吹いていますので、これが解除されることで、低圧に逃げているので、それをなくすと血行動態が不安定になるといったことはありません。都市伝説です。
 
 
僧帽弁閉鎖不全の診断についてですが、あるかないかは結構簡単です。心エコーでどの観察像でもいいので、僧帽弁周囲にカラードプラ―を当てて、逆流するしていたら、僧帽弁逆流ありです。なければ、なしです。
ただ、ここからが難しくなります。
重症度評価です。
 
なぜ、先に血行動態の話をしたかというと、僧帽弁閉鎖不全症の重症度を何で評価するといいかということを考えるうえで、血行動態を知っている必要があったからです。
心不全に関係しているのは、逆流量です。逆流量が増えるとそれだけ左室の拡張末期容積が増えます。それによって余計に拡張末期圧が上昇します。
その逆流の量を決めているのは、僧帽弁の孔の大きさと収縮期の左室と左房の圧較差です。
左室の収縮期の圧と左房の圧の差が逆流の駆動力となっています。
 
 
 
重症度評価には、僧帽弁閉鎖不全の原因によって大きく2つに分けられます。
 
心エコーでの僧帽弁閉鎖不全症の重症度の一つが、逆流率50%以上かどうかということになっています。この50%という値だけは共通です。
左室から駆出される血液のうちの半分以上が心房方向へ行くようであれば、重度ということになります。
 
この50%以上というのを基準に、それぞれの原因によってどれだけの量が逆流していれば、重度とするか、または、逆流の量から逆流の重要な因子である僧帽弁の収縮期に開いている弁の面積を計算して重症度の項目に加えています。
(弁の狭窄と違って、開口面積が狭すぎるため直接の計測は無理です)
 
逆流量50%は、左室の機能に依存しませんが、他の評価項目の逆流量や開口弁口面積を求めるときには、原因によって、わけられます。
特に、弁そのものと、弁を心筋につないでいる腱索という鎖に異常があるもの(=1次性僧帽弁閉鎖不全症)と、腱索の付着部である心筋の乳頭筋の位置と僧帽弁の相対的な位置の異常によっておこる閉鎖不全(=2次性 or 機能的僧帽弁閉鎖不全症)にわけられます。
 
そのため、重症度評価において、僧帽弁閉鎖不全の原因を分ける必要があります。
また、重症度評価とは別に、手術の様式などに影響を与える因子による分類も重要です。
 
次回は、この分類についてお話しします。