心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(50-10:心不全に必要な腎臓の知識、尿細管1)

心不全における腎臓の血液検査で重要な項目がBUN (Blood urea nitrogen, 血中尿素窒素. sUNで血清尿素窒素ということもある)です。

これは、Cr以上に心不全の予後の推定には有効であるという報告もあります。
 
BUNをみていくには、腎臓の糸球体以降の尿細管機能をみていく必要があります。
 
ということで、尿細管機能をみていきます。
 
糸球体でろ過された原尿は、基本的にはたんぱくと血球成分以外は、血清と同じ構成をしています。
その中には、ナトリウムなどの電解質、糖や尿酸、尿素窒素が同じように含まれています。また、糸球体ろ過量は、通常では1日で150L程度にもなります。
これがそのまま尿として排出されていたら、大変なことになります。
1日何回おしっこに行かないといけないのかと考えるとぞっとします。
生物が海で過ごすには、おしっこはそのまますればいいので、回数を気にする必要すらありません。いや、おしっこの回数は今は関係ないのですが。
 
つまり、生物は海から陸へと進化をするに従い、水分や塩分が常にある環境から離れていきます。そのため、生体を維持するのに必要な水分、塩分、糖分などは積極的に保持する機能が必要だったのです。
そのために、進化したのが尿細管です。
尿細管の進化が、生物を海から離れることを可能にしました。
 
 
尿細管を構成する尿細管上皮細胞の役割は、血管内と尿細管内の物質のやり取りを行い、血管内、ひいては生体内の環境を整えることにあります。
 
尿細管上皮細胞の機能は、原尿から生体を維持するのに必要な成分を再度血管の中に戻す(再吸収)。また、生体に蓄積してはいけないものを、糸球体でのろ過のほかに、直接血管から尿管へ排出する(分泌)ことによって、その血中の濃度を低く保つという機能をもっています。