心不全に関する検査を、いろいろと述べていこうと思いますが、心不全を診ていて、本当に重症になればなるほど、いろいろな検査よりも、患者さん本人の自覚症状が一番大事だと思いました。
病気を診るのではなく患者を診ろというようなことを言うつもりはありません。
そういう意味ではなく、いろいろな治療を行って、心エコー・血液検査・尿検査などの結果から良くなっている、悪くなっている、変わらないなど、ある程度はわかりますが、結局、患者さんの元へ行って、「今日はしんどくないわ、ご飯食べれそう」といわれると、検査結果を待つまでもなく、悪くはないなと思います。
入院中の心不全患者さんの場合、実際には、患者さんのところに行く前に、夜間の状況をカルテでチェックしたり、重症患者であれば、さらに担当看護師に話を聞いてから患者さんの元へ行きます。
ちなみに、日々変化する指標は、看護師さんが記入してくれるバイタル表に記載されているもの(血圧、心拍数、体温、尿量、SpO2)、モニター心電図です。それらを、まずチェックします。最重症であれば、右心カテーテルデータ(圧とScvO2)などのデータもあれば必ずチェックします(値の妥当性の評価も必要です)
(そのため私の朝のカルテチェックの席は、必ずモニターを触れる電子カルテとなっていました)
患者さんの元へ行ったら、聴診しますが、聴診は悪くなったら変化しますが、あまり日々の変化はないのでそれほど重要視していません。
それよりも、身体所見が重要で、頚静脈の怒張の変化と、指先の温度、爪の色、ならびに毛細血管再充満時間(Cappirally refilling test)が必須のチェック項目です。
あとは、四肢の浮腫の具合でしょうか。
それらの所見をとりながら、患者さんと少し話して、昨日と比べてどうか、1週間前と比べてどうかなど聴いて、評価して、その後の治療を決めます。
内服や注射は朝食後なので、基本的に朝食前には回診をしたいところです。
ただ、どうしても無理な時には、10時内服などに変更して、できるだけ朝の治療を朝一番の状況やそれまでの尿量(6時間尿量など)を見て調整できるようにしておきたいものです。