心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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心不全のすべて(41:特発性拡張型心筋症の概念)

拡張型心筋症は、心エコーなどの画像検査で、心臓が拡大していることと左室の駆出率が低下しいることが必須条件となります。

その中で、特に原因が心筋以外によらないものを、拡張型心筋症といいます。

たとえば、冠動脈疾患などで心機能が悪くなり、左室が拡張しているものは、心エコーなどでの検査結果は同じような感じでも、それは虚血性心筋症といわれます。

まずは心エコーなどで疑い、その後冠動脈疾患や、サルコイドーシスなどを除外したうえで拡張型心筋症とされます。

有意な狭窄を認める冠動脈疾患や収縮障害を起こしうる可能性のある異常な負荷状態、他の全身疾患や蓄積性疾患などに伴うものは除外されます。

 

また、原因として、遺伝子レベルでの異常や、ウイルスなどに対する獲得免疫や自己抗体による心筋の収縮・拡張に関与する蛋白の機能低下などの可能性が示唆されています。

 

そのため、未知の拡張型心筋症患者(誰も気づいていないが拡張型心筋症である人)が、偶然に心筋炎を発症したり、サルコイドーシスを発症したりした後では、現在の医療レベルでは拡張型心筋症の診断が除外診断で行われるため、拡張型心筋症と診断することはできません。(将来的に、心筋の収縮・拡張に関与する蛋白の機能解析が通常診療レベルで行われるようになれば可能になるかもしれない)

(日本循環器学会 拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドラインより、改変)

 

左室収縮機能障害の目安として、心エコーなどで、左室駆出率 50%未満 または 40%未満などが目安とされてますが、心拡大や右心機能低下に関しての目安となる値はありません。

 

端的にいうと、心筋細胞内の収縮および拡張を行う心筋特有の構成要素そのものに異常があり、その異常のために心筋の収縮機能が障害され、かつ、心腔拡大が生じている疾患といえます。

まあ、最近では右室中心の拡張型心筋症という概念も含めて、拡張型心筋症は、左室ないし右室、または両心室のび漫性の収縮機能低下と心室の拡大を認める疾患であると考えられています。