心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(24:心不全の自覚症状)

心不全の症状を、まずは列記します。
 
左心不全症状:息切れや動悸、易疲労感、夜間発作性呼吸困難や起座呼吸
右心不全症状:浮腫、体重増加、消化器症状(悪心・嘔吐・便秘)、食欲不振
低灌流所見:尿量の低下、四肢の冷感、記銘力低下、集中力低下、性格変化、食欲不振
 
意外に、これがあると心不全というものがないというのがやはり特徴です。
特に、心不全の左心不全の初期症状とされる労作時(動いた時)の息切れや動悸、易疲労感というのは、年齢とともに必ず出てくる加齢性変化とも言えます。
20歳の時と同じ運動を60歳の人がしたとして、早い段階で、息切れや動悸、疲労感を感じるのはいわば当然のことです。
おおよその基準となるのは数日から、長くとも数週間程度の期間で悪化した労作時の呼吸困難感の増悪といえます。
具体的なエピソードとしては、「普段は家の階段や駅の階段2-3階分を上れていたが、数日前から途中で息切れとか血の気の引く感じがして登れなくなったから、登らなくなった。平地なら息切れは出ないけど、1,2日前から家の中でも息切れでしんどくなった。」
これは、一般的にみられる心不全による比較的急性の労作時呼吸困難感の増悪です。
また、心不全は寝ている時のほうが、水が肺全体に貯まる傾向になり、座ったりした時のほうが重力で、肺の上のほうが水が少なくなり酸素交換ができるようになるため、寝ていて1-3時間程度でしんどくなって起きる、また、息苦しくてまったく寝れないので、座ったまま眠るようになるなどが、心不全で典型的な症状です。
この横に寝て眠っていると数時間で息苦しくて起きるのを夜間呼吸困難感といい、それが進行して、横に寝るとすぐに息苦しくなってしまし、座ったまま眠ったりしなければ、ならなくなる状態を起坐呼吸といいます。この2つは心不全以外ではみられない症状ですので、これらの症状があると心不全が強く疑われます。
(ほかの息苦しくなるような病気は姿勢、特に横に寝たからといって症状は悪化しません)
また、右心不全症状は体の臓器や、四肢の浮腫が特徴です。腸管もむくみます。特に個人的な経験では小腸がむくんでいるようです。
腸管がむくむと、消化器症状がでますし、便通も悪くなります。しかし、原因ははっきりしていませんが、低灌流所見が強く出ると突然排便感が強くなり、突然強い排便感と排便があります。これは、自律神経の急激な変化が関係しているのかもしれませんが、わかりません。
また、足の浮腫もよくみられますが、朝になっても引かない浮腫で、数日で急に悪化してきたものが、比較的心不全に特徴的だと思います。
朝になったらきれいになくなるとか、数年前から同じような浮腫がある場合には、心臓はあまり関係ないかと思われます。
 
低灌流所見は、外目には、顔色が悪いなどのあまり特異的な所見はありません。日々の食欲の変化、食事摂取量の変化といった基本的なものが灌流所見をよく表しています。朝、患者さんにご飯食べれそうかどうか、よく眠れたかなど、普通のことを普通にできそうかどうかというのは非常に重要な症状です。
 
 
ちなみに、私は個人的には、年齢とともに労作で呼吸困難を感じるようになるのは、心臓の拡張機能障害が強く関係していると持っています。もし、年齢とともに拡張機能が悪くならないのであれば、60歳でも20歳と同じような運動ができると思っています。