心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

心不全について私が知る・思うすべてのこと

心不全のすべて(15:心不全の症状の原因)

心不全で、収縮機能が悪くなると、必然的に心臓は大きくなります。

急性の変化では、心室が大きくなるに従って、心内圧は上昇します。

慢性の変化でも、おそらく心臓が大きくなることで心内圧が低下することはないと考えられます。

収縮機能低下を原因にした慢性的な変化による心拡大によって、拡張機能に影響が出るかどうかはわかりません。左室駆出率で評価する収縮機能の低下と心拡大があっても、心内圧が高いかどうかは、わからないということです。

もちろん、左室駆出率の低い心臓は、正常の心臓ではないので、心内圧が高い可能性は高く、そうでなくともいずれ高くなってきたりする可能性は十分にあるので、注意が必要です。

 

心不全の症状は、急激な変化を伴う心筋梗塞や心筋炎など以外の、比較的慢性に進行するもの(多くの心不全はこのような経過であるが)に関しては、労作による身体負荷に伴って出現し始めます。

いわゆる心不全による症状の中で呼吸困難は、初めは日常生活レベルをかなり超える労作をすることで出現していたのが、徐々に階段を上る程度の日常生活や、ただ歩くだけといったような低レベルの活動強度でも出だします。

また、呼吸困難よりも足などの浮腫の症状で心不全が初めて診断される人もいます(高齢者心不全に多い)が、この違いは、左室の拡張末期の心内圧の上昇によるものか、右室の拡張末期の心内圧の上昇によるものかですが、それはまた別に話します。

 

今回、お伝えしたいのは、心臓の収縮機能が悪化して、心臓が大きくなっていたとしても、心不全による症状が、安静時および労作時にでるかどうかは、わからない。心不全による症状が出るかどうかは、心臓の拡張末期の圧が高いかどうかであり、それを決めているのは、その人が行う労作の最大強度の時に、どこまで拡張末期圧が上昇するか、そして、その人がどの程度まで拡張末期圧による肺うっ血や体うっ血を許容できるかに依存します。

また、安静時の心拍出量の低下状態が起こっている時、体が要求する循環血流量を心臓が出せない理由は、心臓が心拍出量を稼ぐために大きくなりたいのに大きくなれない何かがあり、それは心臓の心筋組織そのものの拡張機能の低下か、何かによって拡張機能が制限されている状態であるといえます。