尿酸というと、痛風発作で関節が腫れて、風が吹いて触るだけで痛むほど強い痛みが生じるというイメージだと思います。
血液に尿酸が解けるのが、7.0mg/dlまでとのことですので、7.0mg/dl以上では高尿酸血症となり、痛風発症のリスクとなります。
ただ、他には、高尿酸血症は、他の動脈硬化性疾患と併存するとそれらの疾患の悪化を助長させることもあります。
心不全の方の尿酸値が高いと生命予後が悪いとか、動脈硬化性疾患の方の高い尿酸値を下げると動脈硬化性疾患の発生が減るなどの研究があります。
また、腎疾患とも強い関連があります。
尿酸は、食事からの吸収、肝臓で作られる分、また、腎臓で再吸収される量で決まります。また、いろんな疾患に関して言えることですが、薬剤の影響も重要です。
食事に関しては、ビールなどのプリン体が多いものや、肉・魚などの多量摂取者では尿酸が上がって、痛風リスクとなることが知られています。コーヒーや乳製品に関しては尿酸値を下げるといわれています。また、アルコールでは、いわゆるウイスキーなどの蒸留酒などでは上がらないとされています。これらは、アメリカ中心のデータで日本人ではどうかは不明な部分もあります。
体の中で作られる分に関しては、DNAやRNAが代謝された最終物質として生成されます。ほかの生物は尿酸をさらに分解するため、尿酸が体内になるのは人間と一部の霊長類のみになります。
また、腎臓での再吸収が、かなり尿酸値に関係すると思われます。尿酸は、腎臓の糸球体で一度尿細管内に絞り出され、再度尿酸は尿細管で再吸収されますが、この再吸収にかかわる部分に異常のある人は、著しい低尿酸血症となります(0.5とか1.0mg/dl)。これらの方に関しては、尿酸結石ができやすかったり、尿酸ができる一連の化学反応が亢進することで、XO(キサンチンオキシダーゼ)という酵素が関係し、嘔気などの症状が出ることがあります。低尿酸血症なのに、この酵素の活性化を押さるためにXO阻害薬(アロプリノールなど)を投与することもあります。
また、同じように再吸収が更新するようなたんぱく質が亢進している方に関しては、どれだけ食事などに気を付けても、血中濃度 8.5とか9mg/dlとかになります。脂質異常とも共通しますが、やはり体内の酵素や受容体の強さ・弱さによって疾患が決まってくることがあります。
薬剤に関しては、利尿薬などが有名ですが、何か服用している薬があり、尿酸が高い方は、飲む前後で比べたり、服用中の薬で尿酸が上がるかどうかを調べてみてください。
尿酸が高いといわれた方に関しては、8.0mg/dl以下に関しては、様子を見てください。ただ、8.0-9.0mg/dlに方に関しては、他の疾患との関係で治療をするかどうかが決まります。また、9.0mg/dl以上ではすべての方に治療をすることが勧められますが、この辺りはガイドラインで決まっていて、何か他の疾患で治療中の方に関しては主治医にご相談ください。
さらに、痛風発作を起こしている方に関しては、今までの研究で6.0mg/dlまでに下げると発作が非常に少なくなることがわかっていますので、治療される方に関しては、薬の副作用に注意して治療を行ってください。