いわゆる肺活量の検査です。
一般的な呼吸機能検査が、何を測定しているかというと、いっぱいまで吸って、はけるだけはいた空気の量と時間を測定しています。
吐ききったと思っても、肺の中にはまだ空気は残っています。特殊な方法でこの残気量というのは測定できるのですが、一般的には測定しません。
また、肺胞と肺の毛細血管の空気のやり取りのしやすさを肺拡散能(DLCO)といって、間質性肺炎などの特殊な呼吸器疾患や呼吸困難の原因の検査として測定することがあると思いますが、特殊な装置を使いますので、設置している施設はある程度の規模の病院だけかと思います。(COというのは、一酸化炭素のことで、これを一定濃度空気にブレンドして、そのCOを一定量含んだ空気をしばらく吸ってから検査するので、ブレンダ―といわれるそれなりに大きな機械が必要になります)
最大限まで吸って吐いたときの、空気の量が肺活量といわれるものです。
あと、吐いたときの最初の1秒間に吐いた空気の量も測定しています。
他にも、肺活量の変化を横軸に、呼気の速度を縦軸にとって、容量と速度の関係もみますが、この辺りはDLCOなどと含めて、別項目でお話します。
ひとまず、簡単には、呼吸機能検査は肺活量とそのうちの1秒間の量をみています。
肺活量は、性別と身長、年齢によって影響を受けるため、それらの値で補正して%で表示します。(いくつかの補正式がありますが、それほど結果は変わりません)
そのため、絶対値というよりは、同年齢、同一性別、同身長の人の中でどうかをみるために、パーセントの値を見ていただければと思います。
では、肺活量が低い場合にはどうしたらいいかというと、正直あまり手はありません。
レントゲンやCTをとって、慢性的な肺炎や肺の線維化がないかを合わせてみるくらいで、それらがなければ特にそのまま経過を見ていただくしかありません。
というのも、肺活量は、肺を包んでいる胸郭の大きさと、胸郭の中で肺以外を占める心臓の大きさ、胸郭を広げる筋肉で決まります。
胸郭の大きさと心臓の大きさは、努力でどうにかできるものではありません。
呼吸筋のトレーニングという方法はあり、専用のちょっとした器具を加えて深呼吸するだけですのでしていただく分にはいいのですが、適応基準はありません。
また、1秒間に吐いた空気を肺活量で割った値を1秒率といいます。この1秒率が低下するのが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)です。
COPDは、喫煙でなるというイメージが強いですが、非喫煙者にも見られます。
病態としては、呼吸を吐こうとしても、肺胞や末梢の気道が弱くなっていて、思いっきり吐いてもすぐに反応してくれず、1秒間にでる呼気の量が減るという状態です。
また、このようなかたは、肺胞の空気が呼気として十分に出ず、肺胞内に呼気に多い二酸化炭素が高い状態になります。肺胞と血液の、二酸化炭素の値はほぼ同じレベルになりますので、血液の二酸化炭素も上昇します。このような状態の方は、何かのきっかけで酸素投与を行われたときに二酸化炭素による意識障害を起こすことがありますので注意が必要です。
1秒率も一度悪くなると良くなるのは難しいと思っていただいていいと思います。
喫煙しても、悪化は止まるが、改善や正常化は困難だと思ってください。
そのため、現時点では、呼吸機能検査の異常に関しては、それを起こしている可能性のある疾患を調べていくということになりますので、呼吸機能検査が悪いからどうするとかということはありません。