心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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やせているのに高いコレステロールの原因は?

やせているのに、LDLコレステロールなどが高い人は、家族性の可能性があります。

原因にかかわらず治療が必要です。

 

 

脂質代謝異常は、生活習慣病の一つです。暴飲暴食すれば、悪化します。

3kg程度体重が増減すると、それに伴って脂質異常も良くなったり悪くなったりします。

体重というよりもそれが変化する原因が重要なんだと思います。3kgやせるとなると、食事にも注意して、運動もし始めたりしないとなかなか減らないと思います。

野菜(キャベツとブロッコリー)を増やして、階段を上って、電車の1-2駅分を歩くようにして、3か月で、3kgの体重の減少と、LDLコレステロール 170mg/dlから110mg/dlまで減ったというような方は、ちょいちょいいます。

 

ただ、生活習慣とは全く関係なく異常を示す人もいます。

LDLコレステロールは主に肝臓で代謝されます。LDLという袋には、アポB100というフックがあって、肝臓にはLDL受容体というLDL取り込み用の突起があります。

LDLのアポB100が、肝臓のLDL受容体に引っかかって、肝臓の中に取り入れられて代謝され、消えてなくなります。

適切な食事をして、運動もしている人、また、そうでなくても、やせ形でまったく不摂生ではないのに、変にLDLコレステロールが高い人に関しては、この過程に問題がある可能性があります。

例えば、きちんと機能するLDL受容体がつくれないとか、アポB100が作れないなどがあると、肝臓でLDLコレステロールが取り込まれなくなって、血液にLDLコレステロールがあふれてしまします。

遺伝的にこのような異常がある両親から生まれて、父親からも母親からもLDLを代謝できない遺伝子を受けたっと人は、家族性コレステロール血症、ホモ接合子タイプといわれ、100万人に1人程度いらっしゃるのではないかといわれています。これらの人は、肝臓への取り込みが10%以下といわれていて、LDLコレステロールが300mg/dlとかという非常に高い値をとります。

 

また、片方の遺伝子に異常がある人をヘテロ接合子といいます。さらに、そうではなくとも、遺伝子の発現が弱かったり、LDL受容体や、アポB100、また、LDL受容体事態を壊して処理するPCSK9という蛋白に、多少の機能低下などの異常があったりする人は結構いるのではないかと考えています。実際に患者さんを見ていると、生活習慣に問題がないのに、ずっとLDLコレステロールが140-180程度で、すぐに薬物治療をするレベルではないけどもという方が結構いらっしゃるのです。

また、逆にすごい、いわゆるメタボ体系なのに、全然親子3代にわたって、LDLコレステロールが80mg/dl前後の人もいます。確証はないですが、LDLの代謝がよほどいいとしか思えません。

 

家族性コレステロール異常の方は、診断と治療が必要です。

生活習慣病ではないからといって、脂質代謝異常を放置すると動脈硬化の原因になります。

脂質代謝の治療は、高血圧があるかとか、動脈硬化性疾患があるかなどによって、リスク別に治療開始時期が変わりますので、かならず内科の医師に相談して頂きたいと思います。

 

ひとまず、あまり不摂生ではないのに、LDLコレステロールが高い人。目安としては180mg/dl程度を超えている人は、これらの代謝の過程に異常がある可能性がありますので、かならず専門医を受診してください。

ある程度の都会であれば、脂質代謝を専門にしている内科の先生はいると思います。

大阪であれば、循環器内科の一部の先生方や、代謝内科の先生が専門になります。

最初は、アキレス腱のレントゲンを撮ったりしますので、少し診断に慣れがいります。

 

診断が決まれば、内服と、一部注射があります。

血液透析と似たシステムを使ってLDLコレステロールを取り除く治療が必要な人もいます。

内服 ± 注射の治療であれば、普通の内科の先生でも十分対応可能ですので、近くで治療を受けれると思います。

 

もちろん、生活習慣に問題あるなと、心当たりの人は、160でも150でも、生活習慣を無理ない範囲で見直してみましょう。

見直しが無理なら、内科医師に相談して、ガイドラインを参考に治療をしましょう。放置するよりは、ひとまず、内服して、動脈硬化のリスクを下げておくというのも重要だと思います。