健康リブ ー健康に生きるために病気を知るー

セミリタイアした医者のブログ。元気に長生きするためにしっておいてほしいこと。平日は毎日更新していこうと思っています。

コレステロールと中性脂肪の入っている袋のことをLDL,HDLなどと呼ぶ

最近、いわゆる悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロール(Low density lipoprotein cholesterol:低比重コレステロール)の中に、sdLDLコレステロール(small dense LDL)というのがあり、それが測定できるようになっています。
このsdLDLコレステロールは、より動脈硬化を起こしやすいような特徴を持っていて、重要視されています

 

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今回は、それに関連した話が、循環器の3大雑誌の中でも老舗のCirculationに掲載されていたので、お話ししたいと思います。

引用:Antonio J. Vallejo-Vaz, et al. Circulation. 2018;138:770-781. Triglyceride-Rich Lipoprotein Cholesterol and Risk of Cardiovascular Events Among Patients Receiving Statin Therapy in the TNT Trial

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これが、説明の上でのキースライドになります。

血液検査結果だと、中性脂肪とコレステロールに分けられています。中性脂肪というのは、トリグリセリドとほぼ≒と考えて下さい。他にモノグリセリドやジグリセリドもあるがわずかです。
中性脂肪は主にエネルギーの畜電池みたいなもので、コレステロールが細胞膜、ステロイドホルモン、神経を保護・絶縁しているミエリンなどの原料として働きます。この二つは、もちろん違うものですが、血液の中では、ざっくりわかりやすくいうと同じ袋の中に入っています。袋は、比重によって種類が分けられています。細かい数字は別として、カイロミクロンというのが一番初めにできて、その後、中性脂肪が減っていって、小さくなっていきます。図の一番下のApoB particles, ApoAというのが、くっついているたんぱくのことで、HDLのみがApoAというたんぱくで、後は、ApoBという種類のたんぱくがくっついています(カイロミクロンはB48、VLDL,IDL,LDLはB100が主)。
このたんぱくは袋のフックみたいなもので、肝臓などの臓器はこのフックを目安にして受容体に引っ掛けて回収します。

カイロミクロンには腸管で吸収された中性脂肪とコレステロールを肝臓に運ぶ役目があります。VLDLは、肝臓でエネルギー源である中性脂肪をくばるために作られます。そして、VLDLは途中で中性脂肪が配られて、IDLというVLDLの中性脂肪が減った形になり、これは通常であればすぐに肝臓で代謝されてなくまります。

次にLDLですが、これは組織にコレステロールを配るのが目的で、肝臓と同様に、末梢の組織にもLDL受容体があります。これに含まれているコレステロール値が高いほど、動脈硬化に関連する疾患が多いため、悪玉コレステロールといわれることがあります。現在、コレステロールの治療ターゲットとしては、このLDLに含まれるコレステロールの値(LDLコレステロール)を目標にすることが多いです。

最後に、HDLですが、HDLには、コレステロールを抜き取る酵素があって、組織からコレステロールを引き抜いて、肝臓に返却しています。この値が高ければ、肝臓に返却されるコレステロールが増えるため、抗動脈硬化作用があるとされ、善玉コレステロールといわれることがあります。
ただ、悪玉や善玉といっても、LDLのさらに粒子の小さいものはsdLDLと呼ばれ、さらに動脈硬化性変化と強く関係していると考えられていたり、HDLも数が多いものは無効(女性で100mg/dl以上とか)で善玉ではないといわれていますが、ざっくりとLDLは悪玉で、HDLが善玉という考え方は間違いではないと思います。

最近、sdLDLコレステロールとは別にnonHDLという項目をみることがあると思います。それは、いわゆる善玉といわれているHDLの袋の中にあるコレステロール以外は、動脈硬化に関係するだろうという考えで使われている指標です。血液全体のコレステロール値からHDLに含まれているコレステロール(HDLコレステロール)を引いた値が、nonHDLコレステロール値です。
(計算式:総コレステロール値 - HDLコレステロール値 = nonHDLコレステロール値)

そして、この論文では、さらに、LDLコレステロールも比較的含まれている中性脂肪は少ないので、これも除外して、中性脂肪がいっぱい入っている袋の中の合計のコレステロール値を新たな指標として、トリグリセリドリッチな粒子(TRP)とし、HDL、LDLに含まれる以外のコレステロールをTRP-コレステロールとして、これが新たな指標として有用かどうかを検討しています。 

結果的には、TPR-コレステロールが低めの人は、やはり脳心血管イベントは少なくて、高い人は多いということです。

また、ある程度より低い人は、脂質低下薬が少なく(アトルバスタチン10mg)ても多くて(アトルバスタチン80mg)も脳心血管イベントはかわらなかったが、高い人は、しっかりと高用量服用したほうがよさそうという結果でした。