(small dense LDLコレステロール)
最近、small dense LDLコレステロールが測定できるようになりましたので、簡単に何かだけお伝えします。
「脂質代謝異常はどうしたらいいのか」で、脂質異常そのものについては説明します。
まず、血液検査では総コレステロールと中性脂肪があります。
血液1dL(100ml)あたりに、どれだけのコレステロールがあるかが総コレステロール値で、どれだけトリグリセリドがあるかが中性脂肪値です。
コレステロールも、トリグリセリドも、水に溶けません(油ですので)。そのために、簡単に言うと水に溶ける袋の中に入って血液の中を流れていきます。
この時の袋の大きさや比重(≒密度)によって、種類を分けています。つまり、LDL(low density lipopretein:低比重)とか、HDL(high density lipoprotein:高比重)などに分けられます。
HDLはいわゆる善玉コレステロールで、LDLは悪玉コレステロールといわれています。
血液検査でHDLコレステロールというのは、
HDLという袋の中に入ったコレステロールの1dLあたりの合計値で、
LDLというのは、LDLという袋に入ってコレステロール1dlあたりのコレステロールの合計値です。
実は、これ以外にもIDLという袋もあって、まれにこのIDLにたくさんコレステロールを貯め込む人がいてるため、LDLコレステロールとHDLコレステロールをはかるだけでは、IDLに貯め込む人を見逃してしまうことがあります。だかり、総コレステロールも一緒にはかることが大事なんです。
(私は若いころに、このIDLをしらずにLDL,HDL,TGのみを直接測定していましたが、先輩に指導いただき、総コレステロールから計算でLDLの近似値を出すようになりました。こうするとIDLのコレステロールも含めた評価をすることができます。実はほとんどの研究はこのIDLを含めた推定LDLで評価されていましたので、これが当時適切な評価だったのです)
実は、LDLコレステロールといっても、袋の大きさは結構ばらばらで、最近小さなLDLの数が重要だとわかってきました。その小さな袋がsdLDLで、sdLDLにはいったコレステロールの1dLあたりの合計がsdLDLコレステロールなのです。
sdLDLコレステロールには、酸化といって、動脈硬化を起こしやすい変化が起こりやすいとか、血中からなくなるのに時間がかかるなど、いかにも動脈硬化を悪くしそうな特徴があります。
しかも、LDLコレステロールのくせに、中性脂肪によって血中濃度が増えるというややこしい側面もあります。
この辺りは、脂質の全体のお話の中で再度したいと思います。
治療としては、sdLDLコレステロールを正常値に持っていく治療がよさそうですが、ガイドラインに採用されるようなデータはありません。そのため、今まで通り普通のLDLコレステロールが十分下がるように内服を調整する方向で、しばらくはいいと思います。sdLDLコレステロールは、基本的にLDLコレステロールの中の一種類なので、一緒に下がっていきますし。
ただ、私見ですが、薬の副作用などに注意して、sdLDLコレステロールが40mg/dL程度を下回るように治療するのもいいのかもしれません。