心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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健康診断での基準値について

健康診断で、基準値から外れたものが多いと気になると思います。

ただ、同じ異常値でもまったく気にしなくてもいいものと、注意しなくてはいけないものがあります。

 

基準値というのは大きく二つの方法で決められています。

一つは、正常と思われる人を大勢集めてきて、その人たちの95%が入る値を基準値とするもので、血球の検査や肝臓の機能、肺機能などがこのような形で基準値が決められています。

もう一つは、血圧やコレステロールのように、ある一定の値を超えると脳血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)といった本来防ぎたい疾患が増加していく境界を基準としているものです。

 

そのため、例えば、お酒が代謝されるときに上がるγGTPといった値は、どの値を超えたらどのような病気になりやすいという基準はっきりとしていませんので、別に50だからよくて、100ならだめということはありません。もともと飲酒もしていない100程度で経過している人にとっては、確かに基準値よりは高いのですが、別に何かの病気と関連しているわけではないので、一度検査で異常がないことが確認できれば、放置で結構です。

ただ、例えば、γGTPがもともと20とか30の人が、100とかに急に上がっていて、他にもALPという関連する値なども同時に上がってれば胆道系の疾患に新たに罹患した可能性があるので、こういったときには精査したほうがいいということになります。

これらの値は、高いからといって何か悪さをするわけではありませんので、高いときには、一度検査をして問題なければそのまま経過を見て、急に上がるようであれば何かの疾患に新たにかかっている可能性が考えられるということです。

 

それに対して、血圧などは140/90という基準では、超える方がある程度多いと思います。この値に関しては、今までの研究で心脳血管疾患が最も低いのが120/80あたりで、140/90から増え始める(今は130/80を超え始めることがわかっています)ので、血圧やコレステロールに関しては、予防したい疾患である脳血管疾患が増え始める値を正常値の上限としています。

そのため、血圧やコレステロールに関しては、基準値を超えていれば、なんらかの介入が必要と判断されます。

 

おそらく、再受診などの指示があると思いますが、検査の異常といっても全部が同じような対応でいいわけではないということをご理解いただければと思います。