心不全を中心とした循環器疾患に関する単なるブログ

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高血圧とは。そもそも血圧とは何か。治療はした方がいいのか。(2)

(血圧とは?)

ここで血圧とは何かについて、みていきます。

 

血圧自体は、①心臓から出た血液、②血管の中でも末梢のほうにある抵抗血管、それと③大動脈で決まります。

 

毛細血管のレベルでは、血管と組織の物質の交換が主となりますので、ここは流れが一定の定常流となります。ちなみに、輸送には波状に送る方がエネルギー効率がいいようです。これにかなった形で、心臓から出た直後の血流は拍動流で、波のような感じです。

心臓から波状に出た血液が、毛細血管の手前で定常流に変える最後のポイントが抵抗血管です。この抵抗により血流が最終的に定常流となり、効率よく物質交換が行われることになります。

また、この抵抗血管となる動脈は交感神経により強く制御されていて、動脈系全体の抵抗を作ることになります。

 

(血圧は血液の流れと停滞で最高値となる)

さて、血圧を例えるのに、有名歌手のコンサート終わった後の出口付近や、高速道路の料金所の手前を思い浮かべてみてください。

有名歌手のコンサートが終わり、コンサートホールから長い通路を通って出口のゲートへ人が流れていく様子を想像してください。ここで、コンサートホールを心臓、出口ゲートを抵抗血管、コンサートホールから出口ゲートまでの長い通路を大動脈とします。

 

コンサートが終わるとコンサートホール(心臓)から、一塊の人が出口ゲート(抵抗血管)のほうへ通路を通って流れていきます。最初のほうの人は、比較的容易にゲートを通過できますが、ゲートには限りがあるので通路に人が滞り始めます。大量の人が一気に出口に向かうので、直ぐにゲート手前に待つ人の列ができ、さらにホールに近い通路でも人があふれます。出てくる人とあふれた人のぶつかるところでさらに大きな渋滞が発生します。

しかし、時間経過とともに徐々に人々がゲートを通過していき、コンサートホールから出てくる人もいなくなり、混雑は緩和され、通路の人も減少していきます。

 

最も通路が混むタイミングが、2回あります。1回目は、初めに大量の人が一気にでて、それが通路を通過しているとき、2回目は徐々に通路に人がたまっていき、それでもまだ人はコンサートホールから出てきていて、その混雑が改善され始める直前(時間当たりの出口ゲートを通る人の数がホールを出てくる人の数を超えた時でしょうか)。この2回のタイミングが通路を最も強く押し広げるタイミングです。

 

さらに、この時、もし、次のコンサートがすでに行われて、ちょうど通路の人が緩和されたときにそのコンサートが終わったとしたら、コンサートホールから同じ通路を通って、人が出口ゲートへとやってくると再度通路に人が滞ってきます。コンサートホールから出ていく人の量と勢い、それとゲートで滞る人の増え方、そして、通路の広さで、人が通路を圧迫する力が決まります。

 

この時のあふれた人が通路の壁を押す力の最大値が、血圧でいうところの収縮期血圧(収縮期の最高血圧)になり、次のコンサートホールから人が出る直前の、最も人が少ない状態での通路の壁を押す力が拡張期血圧(拡張期の最低血圧)です。

わかりましたでしょうか。もう少しわかりやすい説明を思いついたら、また、したいと思います。

 

(血圧とは)

以上の話しをきちんとした医学的な用語で説明します。

血圧は、血管圧縮応力の略です、たぶん。

血圧の構成要素は、血管(動脈)と血液です。血管の中の血液充満具合が、血管に対して圧を作ります。少し、難しいですが、体の循環をざっくりというと、心臓が、血液に対して体をめぐるのに必要なエネルギーを与えて、血液が波のように心臓から出ていくことで、動脈の単位当たりの流量の変化が起き、血液が動脈を押し出す力に対して、血管がそれを中心に押し返す力が働きます、これが血圧です。

血圧には、収縮期に2つの瞬間的な最大値があります。一つは心臓から血液が出て、血管を押し広げるとき、もう一つは、末梢血管で血液が停滞し、さらに順方向性の血流が生じ続けていて、先に出た血液が作る抵抗が最大値となる時です。この2つの瞬間的な最大値の関係によって、血圧の最高値が決まります

 

実際には、血液の移動そのものにより血管が押し広げられるというよりは、海で水分子の移動よりもそのエネルギーが先に伝り、押しては返す波となるに、心臓から出た血液のエネルギーがまさに波のように血液を振動させていき、血管に作用します。これを利用した検査にPWV(Pulse wave velocity)という検査があります。

先ほどのコンサートホールの例で例えなおすとと、通路や出口付近にはもともとうだうだしている人が一定数いて、コンサートホールから人が出た時に、そのうだうだしている人がまずぐっと押されて血圧を作っているというほうが正しいのかもしれません。

 何せ、血管の中が空になることはありませんので。

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(大動脈の伸展性の違いで、最高血圧に影響)

心臓からは、収縮期にのみ血液が出ていきます。そのため、心臓に近い位置では心臓が収縮しているときにだけ血液が流れますが、末梢に行くと拡張期にも血液は流れます。これは、収縮期に出た血液が一旦大動脈にプールされて、それが拡張期に徐々に末梢へ向かって流れていくためです。この大動脈にいったんプールされるということが、高齢者と若年者の高血圧のタイプの差となりますので、重要です。

 

高齢者では、血管が硬くなっているため、出た血液が血管に押される力も強く、また大動脈が硬い(伸展性が少ない)ために、大動脈に血液がプールされずに一気に末梢と向かうことで、血液の停滞も早く起きます。すなわち、2つの最大値が近く重なり合うため、一層最大血圧が上昇します。若年者では、高血圧でも、まだ、血管の柔軟性が残っていれば、いったん血液が大動脈にプールされ、この2つの最大値が離れているので、最高血圧は比較的低くなります。

 

もう一度繰り返しますが、血管は末梢組織の毛細血管のすぐ手前に終末細動脈という場所で、抵抗を作っていて、血液の流れに対して、抵抗し、毛細血管に、波ではなく一定の安定した血流(定常流)が流れるようにしています。この抵抗によって心臓から出てきた血液は勢いを失います。細動脈の手前で血流は一旦停滞します。

この停滞と心臓から出てくる血液の後押しによって二つ目の血圧の最高値である収縮血圧が形成されます。(さらにいうと収縮期を終わらせる = 大動脈弁を閉鎖せるのもこの末梢の動脈などが作る抵抗です)

(押してくる波と引いてくる波がかち合う感じです。) 

 

その後、心臓は、血液の拍出をやめ(拡張期)、血管にとどまっている血液がゆっくりと末梢にながれていきます。この時の流れきったとき(心臓から次の血液がくるちょうど手前)が、最低血圧である拡張期血圧です。

 

(高血圧では、血圧を制御している重要な要素は、塩分)

今までの話しはあくまで血圧はどのように作られるのかということです。

正常な個人では、心拍出量、血管弾性、血管の長さなどが要素です。

また、心拍出量は、体の組織の酸素の必要量と赤血球の機能や濃度、組織の赤血球からの酸素の引き抜き率などの総合的な要素で決まります。(よほど悪いしんふぜんでなければ、心拍出量を決めているのは心臓ではありません)

正常であれば、環境変動に伴っても十分に対応して、安静時の血圧はほぼ一定です。

 

しかし、もともと塩分を排泄するのに血圧が過剰に上げなければならないとか、加齢や喫煙により動脈に効果を起こして、動脈の血流の調整がうまくできないなどの要素があるときには、血圧は上がります。

こういう高血圧の場合に、血圧をコントロールしているのは塩分です。

塩分がコントロールしているのが、平均血圧です。

 

明らかな原因のない高血圧を本態性高血圧といいますが、なぜ血圧が高くなるかというと体が血圧を高くしないといけないという状況があるからです。すなわち、塩分過剰状態の解消のために血圧は上昇します。

塩分は腎臓から排泄され、常に体の中の塩分濃度を一定に保ちます。その時に、過剰な塩分を排泄させるための機構が、血圧の上昇です。